人手不足時代の従業員定着に向けて vol.4 ~労働条件の改善に関する取り組み 02~

執筆者:吉田 浩文

更新日:2019年04月25日

(vol.3のつづき)
経営会議で検討した改善要望は二つありました。
一つは就業条件の見直しです。同社では、慣例的に始業30分前に店舗内外を掃除していましたが、業務なのか自主的なものなのか位置づけが曖昧でした。見直しの結果、掃除を業務として明確に位置づけ、始業時間・終業時間を15分ずつ繰り上げた上で、始業前に掃除を実施した場合は時間外勤務手当を支給することにしました。また、年末年始などの公休日を地域の最大手の自動車販売会社と遜色のない水準まで増やしました。

もう一つの改善要望は、人員不足への対応です。特に整備職が多忙である状況を踏まえ、最新型設備の導入、動線の改善、外部専門家の意見を踏まえた車検や整備方法の見直し、間接業務のパート社員への移管、業務外注化といった取り組みを進めました。また、一部無償サービスの廃止や整備受付時間の短縮など、サービスの見直しも行いました。

これらの取り組みは昨年の冬に実施しました。労働時間や定着率への影響については、今後検証していく予定です。一方、2年前に導入した有給休暇取得促進ガイドラインは徐々に効果を上げています。4月~10月の有給休暇取得日数は3年前が197日、2年前が343日でしたが、昨年は922日となっています。

この事例から、どんなことが学べるでしょうか。
一つ目は、従業員定着に向けた取り組みには、現状分析が不可欠であるということです。自社の採用・離職状況、外部データと比較した自社の賃金水準、労働時間など、客観的なデータを把握することが第一歩となります。
二つ目は、長時間労働対策には、意識改革だけでなく、生産性の向上が不可欠であるということです。そのためには、設備投資や過剰サービスの見直しなど、経営判断も求められます。掛け声だけ、数値目標だけでは、施策の有名無実化やサービス残業につながりかねません。
三つ目は、施策を実施した場合は、必ず継続的にフォローアップを行うということです。「従業員から改善要望を聞いた場合は必ずフィードバックを行う」「施策を実施して終わりではなく、何度も周知を行う」「客観的なデータを取り続け、施策に効果がない場合は適切な対応を取る」といったことが重要です。

今回は、主に労働条件改善に関する取り組み内容を紹介しました。次回は、労働環境改善に取り組んだ企業事例を紹介します。

(つづく)

この記事の専門家

公益財団法人日本生産性本部 主任研究員

吉田浩文

専門商社勤務を経て、2007年に(公財)日本生産性本部に入職。主として雇用管理や働き方に関わる調査・研究、コンサルティングに携わる。2015年より厚生労働省等の委託により、人手不足や従業員の早期離職に悩む企業に対する雇用管理改善支援、好事例のヒアリングなどを行っている。

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