人手不足時代の従業員定着向けて vol.6 ~労働環境の改善に関する取り組み 02~

執筆者:吉田 浩文

更新日:2019年05月16日

(vol.5のつづき)
まず、新入社員に対して、入社後1年間にわたって毎月1回本社における集合研修を実施することとしました。研修の冒頭には各社員から1分間近況報告を行ってもらうほか、研修終了後には人事担当者との面談を行います。配属先によっては、年齢の近い社員がおらず、新入社員が孤独感を感じることがあります。近況報告は自身の状況を客観的に振り返る場とすることを目的にしています。研修の内容は基本的なビジネスマナーなどから始まり、下半期は職場の問題解決や1年間の振り返りを行います。

並行して、主任と新入社員間のコミュニケーションツールとして、業務日報を導入しました。業務日報は「本日の業務のポイント」「明日の予定」「主任からのフィードバック」などで、新入社員の状況を把握し離職を予防するために、本社人事担当者に加えて、エリア担当者もその内容を共有することにしました。
業務日報を見れば、指示に対する新入社員の理解度や仕事ぶり、主任による指導状況を把握することが出来ます。必要に応じて、主任に対して人事担当者から指導を行ったり、新入社員の配置転換を行うなど、きめ細かい対応を取ることが出来るようになりました。主任からも「以前は教えていても、相手が理解出来ているかどうか分からなかったが、現在は仕事に対する理解度や考え方の違いを把握出来るようになった」という意見が寄せられています。

こうした取り組みの結果、新入社員の離職は年1名程度となり、離職の理由も把握出来るようになりました。早期離職の一因として業務内容や作業環境に対するミスマッチが見られたため、会社説明会の際にビジュアルやクイズ形式で説明するなど、採用段階でのミスマッチ防止の取り組みを進めています。定着率向上に伴い、社内においても新卒採用や教育投資に前向きな雰囲気が生まれつつあります。

早期離職の防止には、その原因の特定が欠かせません。ただし、拠点・事業所が分散してヒアリングが困難な場合、月次研修や業務日報といったツールを活用するのも良いでしょう。シフト制で勤務時間が不規則な職場では、新入社員に対する指導内容をメンター間で共有する、メンターを固定しない方式のメンター制度を導入しているところもあります。その前提として、本音を率直に語ってもらえるようなお互いの信頼関係づくりや制度・施策の目的意識を関係者間で共有することが不可欠でしょう。

次回は、人事制度改定に取り組んだ企業事例を紹介します。

(つづく)

この記事の専門家

公益財団法人日本生産性本部 主任研究員

吉田浩文

専門商社勤務を経て、2007年に(公財)日本生産性本部に入職。主として雇用管理や働き方に関わる調査・研究、コンサルティングに携わる。2015年より厚生労働省等の委託により、人手不足や従業員の早期離職に悩む企業に対する雇用管理改善支援、好事例のヒアリングなどを行っている。

ミラサポおすすめコンテンツ

サービスを利用する
補助金など支援情報
無料派遣専門家
地域プラットフォーム
専門家派遣・電子申請のご利用は、こちらより企業IDをご登録下さい
ビジネスを創造する
ビジネス創造コミュニティ
業務「アプリ」マーケット
ミラサポビジネスプロジェクト/アワード
補助金・助成金ヘッドライン
軽減税率対策補助金
商店街観光インバウンド補助金
IT導入補助金
やってみるもんです。中小企業も!働き方改革
ミラサポ活用術
ページトップに戻る