人手不足時代の従業員定着に向けて vol.9 ~企業として留意すべきポイント 01~

執筆者:吉田 浩文

更新日:2019年06月06日

企業として留意すべきポイント

今回は、実際に対策を進めるにあたって、企業として留意すべきポイントについて述べていきます。

人材確保・定着に向けた支援を実施するにあたって、企業経営者に話を聞いてみると、現場の苦労は理解しているものの、経営への影響を考えるとなかなか改革に踏み切れなかったという意見が多く聞かれました。しかし、労働条件や労働環境、人事制度などに問題があり人材が定着しない状況で、改革を先送りにすることは、さらなる従業員の離職と人手不足による現場の疲弊を招いてしまいます。帝国データバンクが2017年7月に発表したデータでは、2017年上半期(1~6月)の人手不足による倒産件数は49件と4年前の約3倍に増えています。人手不足による倒産が倒産件数全体に占める割合はわずかですが、変えるリスクよりも変えないリスクの方が徐々に高くなっているのです。

人材確保・定着に向けた改革を進めるにあたって、重要なポイントは三つあります。

一つ目のポイントは、正確な現状把握です。現状の課題を正確に把握することは、改革の大前提です。vol.3-4で紹介した東京オートでは、従業員の確保・定着に向けた課題を洗い出すため、毎年従業員満足度調査を実施しています。また、従業員の本音を引き出すために、管理職抜きで職種別・拠点別の委員会を開催し、職場環境改善に向けた要望を取りまとめ、経営会議でその内容について検討を行っています。vol.5-6で紹介したサンユーは、新入社員を対象に毎月行っている集合研修で個別面談も実施しています。
仮に現状の課題把握を怠り、形だけの改革を対症療法で行った場合、改革が途中で頓挫したり、せっかく導入した制度・施策が形骸化することになりかねません。

(つづく)

この記事の専門家

公益財団法人日本生産性本部 主任研究員

吉田浩文

専門商社勤務を経て、2007年に(公財)日本生産性本部に入職。主として雇用管理や働き方に関わる調査・研究、コンサルティングに携わる。2015年より厚生労働省等の委託により、人手不足や従業員の早期離職に悩む企業に対する雇用管理改善支援、好事例のヒアリングなどを行っている。

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