人手不足時代の従業員定着に向けて vol.10 ~企業として留意すべきポイント 02~

執筆者:吉田 浩文

更新日:2019年06月13日

(vol.9のつづき)
二つ目のポイントは、改革担当者の熱意です。「現場が人手不足で悩んでおり何とかしたい」、「やむを得ない事情で退職していく社員を一人でも減らしたい」。改革が順調に進んだ企業には、そうした思いで従業員に地道にヒアリングを行ったり、経営者に働きかける担当者の存在がありました。もちろん、担当者の熱意だけでは限界があります。経営者や上司を動かすには客観的なデータが不可欠です。具体的には、同一地域・同一業種の賃金水準や労働時間といった定量的な情報や、従業員へのヒアリング結果といった定性的な情報などが挙げられます。人材確保・定着に向けた改革を行うにあたって、担当者は積極的であっても、経営層が消極的なケースも幾つかありました。しかし、従業員の意見や客観的なデータを元に経営者への働きかけを続けた結果、賃金水準や労働条件の改善に結びついた事例が幾つも見られました。

三つ目のポイントは、徹底的な周知・広報です。せっかく制度・施策の導入までたどりついても、周知・広報を徹底しなければ従業員には定着しません。東京オートでは、毎年全従業員を対象とした人事制度説明会を開催し、自社の評価・処遇の仕組みやキャリアパスについて説明を実施しています。また、数年前から有給休暇取得率向上に取り組んでおり、過去数年間の月間有給休暇取得状況を従業員に公表しています。 制度・施策は導入して終わりではありません。その効果を定期的に検証し、フィードバックを繰り返し行うことで、ようやく社内に定着していくのです。

わが国では特に、宿泊業、飲食業、小売業等において、人手不足の状況が続いています。一方で、「宿泊業、飲食サービス業」に就職した大学卒業者のおよそ半分が3年以内に離職しています。せっかく確保した人材を早期に失う企業にとっても、十分な能力・経験を身につける前に離職してしまう若者にとっても、望ましい状況とはいえません。本連載で紹介した事例が、人材確保・定着に向けた取り組みの参考となれば幸いです。

(おわり)

この記事の専門家

公益財団法人日本生産性本部 主任研究員

吉田浩文

専門商社勤務を経て、2007年に(公財)日本生産性本部に入職。主として雇用管理や働き方に関わる調査・研究、コンサルティングに携わる。2015年より厚生労働省等の委託により、人手不足や従業員の早期離職に悩む企業に対する雇用管理改善支援、好事例のヒアリングなどを行っている。

ミラサポおすすめコンテンツ

サービスを利用する
補助金など支援情報
無料派遣専門家
地域プラットフォーム
専門家派遣・電子申請のご利用は、こちらより企業IDをご登録下さい
ビジネスを創造する
ビジネス創造コミュニティ
業務「アプリ」マーケット
ミラサポビジネスプロジェクト/アワード
補助金・助成金ヘッドライン
軽減税率対策補助金
商店街観光インバウンド補助金
IT導入補助金
やってみるもんです。中小企業も!働き方改革
ミラサポ活用術
ページトップに戻る