第1回 グッド・ビジネス・アワード 応募者インタビュー

Vol.03 ファイナリスト 三澤 誠氏

テーマ3:匠「モノづくり」ビジネス

有限会社エヌ・イー・ワークス
代表取締役社長

三澤 誠

「花満開プロジェクト ~奥出雲から世界へ」

misawa

応募概要

私がグッド・ビジネス・アワードに応募したのは、食用の生花を押し花にした「ドライ・エディブルフラワー」を活用するビジネスです。「ドライ・エディブルフラワー」は、当社のお菓子の付加価値性を高めるためにつくりはじめたものですが、お菓子は賞味期限がそれほど長くなく、また送料もかかるため、当社のような地方の中小企業が販路を拡大するにはお菓子という商品パッケージでは限界がありました。
そこで、改めてお菓子を見つめなおし、自分たちの商品の価値はどこにあるのかと考えた時、賞味期限も圧倒的に長く、送料もほとんどかからない、お菓子の上にのっている「ドライ・エディブルフラワー」が最大の魅力であることがわかったのです。
現在では、国内はもとより海外からの引き合いも多くいただき、出荷量では国内・海外の比率は6:4程度となっています。料理やお菓子の味は、国によって好みがさまざまですが、美しい花を好ましいと思うのは世界共通です。まだまだ限られた方にしか知っていただいていませんが、この「ドライ・エディブルフラワー」をもっと多くの方に知っていただき、使っていただき、世界中の人々の生活に彩りを添えることができればと考えています。

ドライ・エディブルフラワー
Dry Edible Flower

Q&A

三澤氏
Q ビジネスを発想されたきっかけをお聞かせください。
A 私の会社は電子部品の下請け会社として2002年に創業しました。しかし、電子部品も過当競争の時代に入り、特に特殊な技術を持ち合わせておらず、かつ立地も流通上不利な当社は新しい発想をもって地方のデメリットをメリットに変える新しいビジネスが必要でした。
そこで着眼したのが「食」の領域です。2007年に押し花をのせたお煎餅を販売しましたが、その加工技術は私が以前勤務していた会社の社長さんがご高齢になったこともあり、技術を買い取らせていただきました。お煎餅の延長線上で、タルトやロールケーキなどの販売も開始しましたが、やはりここでも地方の壁がでてきました。全国区のお菓子にしようと思っても1000円のお菓子を購入するために800円の送料を払う方はいらっしゃらないからです。そこで、お菓子を売るのではなく、お菓子の付加価値性を高めている「花」を売る。つまり6次産業で例えると、電子部品で2次産業をやり、そしてお菓子で3次産業に移行しましたが、結果的に素材である1次に寄っていった方が流通性・汎用性も高いし、国際的なビジネスになると判断したのです。
奥出雲町にお住まいの栽培者
Q 「ドライ・エディブルフラワー」にはどんな特長がありますか?
A 流通の面でいうと、薄くて軽いため約1000枚の花もたった150円の送料で送ることができる上、常温で1年持つなどのメリットがあります。
また、品質面でも食用ですから、安全性には細心の注意を払っています。学術的な文献で食用と認められ、すでに生の食用花として市販されている花は問題ありませんが、文献も実績もない花は自社で動物実験を行い、成長や健康に問題がないかを検証しています。さらに安全性を期すため無農薬栽培を徹底しています。
栽培は奥出雲町にお住まいの方と栽培者としての契約をし、4月~11月は露地栽培を行っています。現在13名の方と契約をしています。また弊社に設置した植物工場でも約500株の花を栽培していますが、栽培者の方にも花を摘んでいただき、ご自宅で押し花にして納品をしていただくという仕組みをとっています。
そしてなによりも弊社の「ドライ・エディブルフラワー」は、ご覧になる方が驚くほどの鮮やかな色合いを持っています。着色料は一切していません。奥出雲町の標高の高さによる昼と夜の寒暖差、そしてひと株ひと株を丁寧に育ててくださる栽培者の方の花への愛情、それが花の色を鮮やかにしています。
手作業を行う従業員
Q エヌ・イー・ワークスさんとは一体なにをする会社なのでしょう?
A 確かに、電子部品からお菓子や花づくり、外の方から見れば何の脈絡もない事業をやっているように見えるかもしれません。しかし、私はエヌ・イー・ワークスの存在価値を「仕事をつくるのが仕事」と考えています。
生産効率を考えたら、自動化する機械を入れた方が大量生産できる、でもそれでは仕事をつくることになりません。ですから花を育てる、押し花をつくる、お菓子を焼く、そのすべての過程において手作業にこだわっています。
ちなみに植物工場も手作りです。当初業者さんから見積りをとったら1500万円かかると言われ、電子部品関係の社員と話をしたら自分たちでつくれるのではないかと。結局自社でつくったので500万円の材料費で植物工場を完成させることができました。押し花やお菓子をつくる機械もすべて自社で開発・製造をしています。
また技術面だけでなく、品質面でも電子部品で培った資産が活かされています。花を含めて農産物は自然によって育てられるため均一化を取ることが難しい商品です。例えば重量だけあわせて梱包しても大小さまざまなものが入り個数は合っていないというのは普通にあることです。しかし工業製品の出身者からするときちんと品質管理をしたい。ですから、花の大きさをきちんと選別し、1つのパックに入っている花の数を合わせています。
奥出雲町にお住まいの栽培者
Q 最後に今後の抱負についてお聞かせください。
A 直近のところで申し上げると、昨年末に香港・台湾のバイヤーさんがいらっしゃり、今年に入ってから注文をいただいています。これまでもフランス、シンガポール、オーストラリア、米国などからも発注をいただいてきましたが、香港には世界にトレンドを発信するパワーがあるので、今後の広がりをとても期待しています。新しいお客様が浮気をしないようにするためにも、QDC(品質・コスト・納期)の徹底をより強化していきたいと考えています。
長期的な視点では、我々の事業を通じて社員のみならず地域に住まう皆さまが「田舎に生まれて良かった」と思い、少しでも社会的な課題を解決することが理想です。奥出雲町は、人口1万4700人弱の典型的な高齢過疎の町です。しかし、ご高齢であっても花を育てるなど仕事を持ち、お金を稼ぐことで生きる活力が生まれます。健康に年を重ねていくので、医療費を抑えられる可能性もあります。そんなポジティブなスパイラルを奥出雲につくることができればと思っています。

Meeting Report:

山田氏・三澤氏・橋本氏

「グッド・ビジネス・アワード」のファイナリストとして最終プレゼンテーションに臨んだ三澤さん。審査員のなかでも三澤さんのビジネスプランを最も高く評価したのが、インターネット販売でお米の新しいブランディングに成功した(株)八代目儀兵衛 代表取締役社長 橋本隆志さんでした。 そして2014年2月、三澤さんと橋本さん、そして橋本さんの7年来の友人でありビジネスパートナーでもある(株)シルキースタイル 代表取締役 CEO 山田奈央子さんの3者が集まり、「ドライ・エディブルフラワー」を今後について話し合いが持たれました。
「つくることは得意だけど売ることが苦手、どう伝えたら買おうと思ってもらえるのをぜひ教えてほしい」と問いかける三澤さん。橋本社長は、「やっていることは素晴らしいのにまだ地方で終わっている、もっとインターネットを活用してB to BだけでなくB to Cにチャレンジしていくべき。B to Cなくして長寿ブランドはつくれない」と指南。また、山田CEOも「年間を通してB to Cをやる体力がないなら、女性のギフト需要の最盛期になるバレンタインなどに絞っていくのもいい。こんな素敵な花で飾られた極上なスイーツを見れば絶対女子はときめくはず」と太鼓判を押してくれました。

COMPANY DATA

  • 有限会社エヌ・イー・ワークス
  • 〒699-1511 島根県仁多郡奥出雲町三成661-7
  • TEL:0854-54-1386 FAX:0854-54-1388

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