ニッポングッド会議
プロジェクトレポート

Vol.2 キリン絆プロジェクト

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農業生産者らが事業者との連携により
新しい農業のカタチを生み出す
「プロジェクトアウト」への取組み

キリン株式会社 CSV本部CSV推進部
キリン絆プロジェクト 兼 企画担当
德田 正一

PROFILE

fixme 「復興応援 キリン絆プロジェクト」は、東日本大震災の復興支援のためキリングループが2011年に立ちあげたプロジェクトです。その重点課題のひとつ「地域食文化・食産業の復興支援」の一環として取り組んでいるのが「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」。ここでは、東北で新しい農業のカタチをつくりだそうと考える農業経営者たちの育成を図るとともに、他産業との連携を図るネットワークの構築を目指しています。

COMPANY DATA

  • 住所:〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル244
  • 公益社団法人日本フィランソロピー協会
  • 東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト総合事務局

中小企業・小規模事業者の皆さんと取り組みたいテーマ

「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」には、東北3県において、震災からの復興や農業が抱えるさまざまな課題に直面しながらも、農業経営者として自立し、他産業と連携して新しいマーケットを生み出そうとしているリーダーが集っています。特に6次産業化に向けては、販路のみならず、加工技術などの課題も多く、全国の中小企業・小規模事業者の皆さんの力が求められています。

「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」には柔軟性のある農業経営者がたくさん集っています。キリンの事業領域などは意識せず、彼らと一緒に日本の農を食をより豊かに楽しくしたいと思われる方を求めてきました。

"連携"を財産に自社の強みにしていく

キリンは食に携わる企業として、「復興応援 キリン絆プロジェクト」を通じて、東北3県の農業支援活動を継続的に実施しています。2013年からは第2ステージに入り、生産支援だけでなく、農作物・水産物のブランド育成支援、6次産業化*に向けた販路拡大支援、将来にわたる担い手・リーダー育成支援などを展開してきました。キリンにとってこのプロジェクトは単なる社会貢献に留まりません。生産者の皆さんと深いつながりをもつことで、我々が製品を流通させている飲料店さんや量販店さんに新しい提案ができる。製品をつくって売ってもらうという関係以上のものを築くことができるからです。「復興応援 キリン絆プロジェクト」は、"連携"を財産にして、強みにしていくための取組みでもあります。

(※1 農業・水産業が1次産業に留まらず、それを加工し販売するところまで視野に入れた事業展開により、農業・水産業の活性化に繋げること。1次産業(農業・水産業)×2次産業(加工)×3次産業(流通)=6次産業。)

東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト

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"プロジェクトアウト"していく上で欠かせない1×2×3の連携

昨年から第2ステージに入っていますが、当初思っていた以上に「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」の成果は上がっています。それは、参加者の農業経営者の皆さんに"プロジェクトアウト"という考えが定着したからだと思います。生産者側の視点(プロダクトアウト)に固執せず、多様な価値観を自分の中に取り込みながら、プロジェクトを組み立て、経営を変えていく。そのうえでも6次産業化、つまりは他産業との"連携"は必要不可欠になってきます。

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2年目の課題は「場」と「加工技術」との連携

成果の一方で、課題も見えてきました。現在、彼らの農産物をどうやって消費者のニーズに組み込むかという付加価値づくりや仕組みづくりを、東京の「丸の内朝大学」の皆さんとタッグを汲んで取り組んでいます。ひとつの課題は、これを「アウトプットする場」の不足です。そしてもうひとつの課題が「加工技術」です。素材があって、理想とする商品があっても、それを具現化する技術、付加価値性を高める技術がなければパッケージにはなりません。しかし、その技術は彼らの周囲にないだけで、日本のどこかにあるかもしれない。全国の中小企業・小規模事業者の皆さんと彼らが連携して、新しい「ものづくり」が生まれればと思っているところです。

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参加者からのメッセージ

いきいき農場(岩手県岩手郡)
販売企画部 部長 三浦大樹さん

私は、「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」の第一期生として多くのことを学び、また自分の考えたプロジェクトの具現化に取り組んでいます。
しかし、加工技術の面で壁を感じています。例えば、「長いものすりおろし」のパッケージングは、高齢化社会を考えてもニーズのある商品だと思っています。一方で、生活者の皆さんは"本物"を求めています。そう考えると、無添加で、食べた時に素材を感じるすりたての長いものおいしさをお届けしたい。チルドなら可能ですが、常温流通でこれを実現するのは至難の業で、まだパートナーを見つけられずにいます。
長いもはひとつの例ではありますが、まだまだ私たちには「カタチにする」ための発想が不足しています。ぜひ、全国の中小企業・小規模事業者の皆さんと知り合い、協力して、知恵と技術を学んでいきたいと思っています。

エリアモデレータの視点から

齋 乾二郎(宮城エリアモデレータ)

~「絆プロジェクト」への期待・意義・価値~
東日本大震災は、主に東北地方の1次産業や商工業等に直接的な被害をもたらしました。震災からもう少しで3年経過しますが、未だ復興への道筋が立っていないところも多く存在します。
当プロジェクトは、東北の復興と被災地域の活性化に貢献する人材育成に留まらず、新しい農業のビジネスモデルを創造する仕組みづくりとして大いに期待しています。
さらに、ミラサポを活用することによって、全国の中小企業・小規模事業者、専門家、コーディネータなど普段の対面ではコミュニケーションをとることができない方々と将来的に、出会いや絆を広げていくことを改めて期待しています。

~農業生産者が全国の中小企業・小規模事業者とつながる意義~
昨今、支援施策の充実や生産者の意識改革により、農業の分野では「産業化」に向けてさまざまな取り組みが行われています。6次産業化により高付加価値を実践している生産者の事例も多いと思います。しかしながら、多くの農業生産者が販路の確保や消費者目線による商品開発などの課題に直面しているのも事実です。
生産者と中小企業・小規模事業者との連携により、上記の課題に対して解決策の糸口となる考え方を得ることが可能となります。そのような取り組みにより農業が抱える本質的な問題(高齢化と担い手の減少)の打開策、さらには地域の活性化に寄与するものと考えます。

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