ミドルクラス人材に求められるイノベーションスキル ~イノベーション教育の意義と可能性 vol.18~

執筆者:堀井 秀之

更新日:2016年01月15日

ミドルクラス人材に求められるスキル

(vol.17の続き)

以上のような役割を果たすためにはどのようなスキルが必要なのであろうか。

まず、イノベーションワークショップに対する理解が必要である。何ができるのか、何が必要となるのかがわからなくては、イノベーション事業開発の提案はできない。イノベーションワークショップに基づく事業開発の企画、提案、実現を果たした上で、実際にイノベーションワークショップを実施するためには、ワークショッププロセスの設計が必要となる。

ワークショップを進めていく上で求められるのは、適切なコントロールであり、最適なタイミングで、その時々の状況に相応しいコメントや指示を出さなくてはならない。業務命令では、折角のイノベーションワークショップの雰囲気を台無しにしてしまう。自由な発想を促すための的確なコメントが必要なのである。そのようなコントロールができることが、若手人材とミドルクラス人材の間の信頼醸成と、ミドルクラス人材の自信につながるのである。ミドルクラス人材は多忙であり、ワークショプに立ち会う時間は限られている。そのような制約条件の下で、ワークショップで進行している情報処理のプロセスを把握し、そのコントロールを行うのがミドルクラス人材の役割である。

ワークショップの途中で得られた情報や、分析、議論によって生み出された知識から、イノベーション事業のアイディアを生み出す能力もミドルクラス人材に求められる。若手人材が提案する事業アイディアが優れたものとなる場合ももちろんあろうが、経験に裏打ちされた広い視野からのミドルクラス人材の発想が、成功に結びつく事業アイディアの創出につながることが期待される。それこそがミドルクラス人材の存在意義であろう。

今回は、企業におけるイノベーション事業立案に必要なミドルクラス人材の役割と求められるスキルを論じた。ミドルクラス人材に求められるスキルは極めて高度である。次回は、多忙なミドルクラス人材がその役割を果たすための支援ツールに関する話題を取り上げる。

(vol.19に続く)

この記事の専門家

東京大学教授

堀井 秀之

1980年東京大学工学部土木工学科卒業、ノースウェスタン大学大学院修士課程・博士課程修了、東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻教授、東京大学知の構造化センター長、i.school エグゼクティブ・ディレクター、専門は社会技術論、イノベーション教育論。著書「問題解決のための『社会技術』」、「社会技術論:問題解決のデザイン」など。

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