知財の戦略的活用法 ~デザインが持つ力 本質的価値の創造 vol.7~

執筆者:廣田 尚子

更新日:2016年08月03日

知財の戦略的活用法

知財の戦略的活用法

(vol.6の続き)

 モノだけを売る時代の終焉と同時に知恵が求められている。つまり、モノと利潤を生むサイクルを合わせたトータルな商品開発が求められており、仕組みのデザインを適正に行うことが不可欠になっている。

 以前、知的財産権が商品開発のプロセスとリンクすることで、開発リスクの回避につながることを紹介した。今回も引き続き、日高国際特許事務所の日高一樹氏にご協力を頂き、知財特性を戦略の核としたビジネスモデル構築の可能性を探る。

 1885年に薬用酒から始まったコカ・コーラは、コーラ原液の製造方法を非公開にすることで、誰も真似できない味を独占している。コカ・コーラ社が原液を供給し、それ以外はすべて現地生産現地配給する独自のシステムを組むことで、運輸コストや品質維持に関して有利に働き、現地にフィットした市場性を確保している。ブランドやノウハウなどの知財はアトランタ本社によってコントロールされ、戦略的ブランド構築によって高いブランド価値を持続している。本社は利益の回収を原液の供給とライセンス料によって賄う。一方、世界各地の工場では地域に合わせた飲料商品の開発と販売もできるため、ウィンウィンの関係を築いている。ノウハウをクローズ化し、製造と流通をオープン化した巧みな戦略で、本社・工場・ユーザーの三者それぞれに利潤が循環する関係性を構築しているのだ。大量生産で世界規模の事業拡大を狙うコカ・コーラの商品性に最適な仕組みだと言えよう。

 近年では、インテル社が回路設計をオープン化したインテルモデルが有名である。〝インテル入っている〟の商標戦略で「見えない部品のブランド化」を行い、完成品PCと自らの信頼を高め、部品メーカーであるにもかかわらずPC製品メーカーに対して優位に立つ構造を作り出している。さらにブランド化による企業力強化は、優秀な人材の確保に有効であり、投資対象としての価値を伝える情報発信の効果も高い。商標の価値は、企業と商品が果たした役割と伝えてきたビジョンによって形成される。すなわち、活動前の商標には財産的価値はなく、優れた戦略によるビジネスの結果が商標の価値を作り上げる。

(vol.8に続く)

この記事の専門家

プロダクトデザイナー

廣田 尚子

ヒロタデザインスタジオ代表、女子美術大学教授、多摩美術大学客員教授
東京生まれ。東京芸術大学卒業。GKインダストリアルデザインを経て独立。
ビジネスデザインを立脚点にマネジメント・製品開発をトータルにプロデュースする。
東京ビジネスデザインアワード審査委員長
2014年RED DOT DESIGN AWARD(ドイツ)
2015年グッドデザイン賞2016年IFデザイン賞(ドイツ)
REDDOT DESIGN AWARDなど受賞多数

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