知財の戦略的活用法 ~デザインが持つ力 本質的価値の創造 vol.8~

執筆者:廣田 尚子

更新日:2016年08月05日

知財の戦略的活用法

(vol.7の続き)

 戦略の実現には多くの意思決定を要し、成功するためには決断力が重要な要素となる。ここに日本企業の開発プロジェクトが陥りやすい問題がある。開発のスタート時は特化した計画を求めるが、中盤に至って決断力が陰り、終盤で絞り込むことに不安を感じて方針が揺れ動き、計画の焦点が不明瞭になってしまう。開発は創造的な計画と柔軟な取捨選択を重ね、ブレない論理性に基づいて目的を初志貫徹することで実現される。

 例えば、商標は開発の企画段階で指定商品等の領域の確定が求められる。後に事業を拡大する際にその事業範囲では商標が使えず、計画の遂行が不可能になるケースも多い。ここでも知財戦略を企画段階から進めることで将来のリスクを回避できる。

 また、インバウンドのように、日本で販売しても商品が海外へ渡っていく現在は、知財を限られた地域だけで考えず、常にグローバルな視点に立った計画が求められる。成功している日本企業では、海外の子会社との技術提携で知財のライセンスを行うなど知財収益がプラスに転じている。

 知財は投資であり、その活用を保全からビジネス戦略そのものだと認識を深めていくことが肝要である。

(vol.9に続く)

この記事の専門家

プロダクトデザイナー

廣田 尚子

ヒロタデザインスタジオ代表、女子美術大学教授、多摩美術大学客員教授
東京生まれ。東京芸術大学卒業。GKインダストリアルデザインを経て独立。
ビジネスデザインを立脚点にマネジメント・製品開発をトータルにプロデュースする。
東京ビジネスデザインアワード審査委員長
2014年RED DOT DESIGN AWARD(ドイツ)
2015年グッドデザイン賞2016年IFデザイン賞(ドイツ)
REDDOT DESIGN AWARDなど受賞多数

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