トラブルを回避するクリエイティブマネジメント ~デザインが持つ力 本質的価値の創造 vol.10~

執筆者:廣田 尚子

更新日:2016年08月15日

トラブルを回避するクリエイティブマネジメント

トラブルを回避するクリエイティブマネジメント

(vol.9の続き)

 視点を変えて新しい切り口を見出せれば、解決のアイデアは無限の可能性がある。戦略やコンセプトを方程式に例えると、未知数の条件を変えれば(見方を変える)、自ずと異なる答え(新しい切り口)が出てくる。それを肉付けしたアイデアで、新しい行動に繋げる。プロジェクトの全面的な停止や戦略・コンセプトといった根幹に関わる枠組みを見直す前に施す術として、「視点を変えた新しい切り口」は、プロジェクトの原動力になる。

 これを応用すれば、新しい視点を生み出すチームが、他のチームと今までにない連携を作り、組織の動き方を変える体制づくりができる。クリエイティブな発想はクリエイターだけのものではなく、誰でも日常の業務に役立てることができる。相手の意見を否定せずに、代案を述べて牽制することもその一例だ。

 「東京ビジネスデザインアワード」は中小企業とデザイナーのマッチング事業で、その運営は東京都とグッドデザイン賞の事務局でもある日本デザイン振興会、日高国際特許事務所の日高一樹氏、筆者による多面的なメンバーで構成している。クリエイティブマネジメントを事業の軸に据えて、常に新しい切り口と具体的なアイデアを積極的に議論し、研究・実践している。進め方・契約・知財・トラブル対応などトータルにアイデアを注いで運営をデザインすることで、応募企業の開発が実現化する確率を年毎に高めている。今後は、この考え方が本格的に企業の中に浸透することを目指して研究会を立ち上げ、クリエイティブマネジメントをメソッド化していく。

 アイデアを持ってトラブルを乗り切る。クリエイティブなマネジメントは、生き物の細胞が常に生まれ変わっているように、プロジェクトに生命力を与え、有機的に進化させる力となる。

(vol.11に続く)

この記事の専門家

プロダクトデザイナー

廣田 尚子

ヒロタデザインスタジオ代表、女子美術大学教授、多摩美術大学客員教授
東京生まれ。東京芸術大学卒業。GKインダストリアルデザインを経て独立。
ビジネスデザインを立脚点にマネジメント・製品開発をトータルにプロデュースする。
東京ビジネスデザインアワード審査委員長
2014年RED DOT DESIGN AWARD(ドイツ)
2015年グッドデザイン賞2016年IFデザイン賞(ドイツ)
REDDOT DESIGN AWARDなど受賞多数

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