価値観を社員の間で共有 ~組織と従業員のWinWinを目指して vol.4~

執筆者:栗林 裕也

更新日:2016年11月11日

価値観を社員の間で共有

(vol.3の続き)

 同社の施策や運用方法は、社員の意識と行動が『支援―仲間を助け合う』、『勤勉―ルールを守る』、『創意工夫―自律的に創意工夫を図る』という3点につながるよう工夫されている。
 その一つが頻繁に行われる異動だ。年に3、4回行われることもあるという。そのねらいは部署や社員の間に生じる壁を崩すことにある。「色々な部署を経験することで自部門の都合だけを押し通すような部分最適に陥ったり、境界のあいまいな仕事がこぼれ落ちることを防いでいる」。専門外の部署への異動も当たり前だ。「周りの手助けが必要となることから必然的にお互いが支え合うし、本人もぬるま湯に浸かることなく前向きにチャレンジする」。また、情報についても必要なノウハウはすぐにマニュアル化して社員間で共有するほか、社員が同じメールアドレスを使用して情報をオープンにするという徹底ぶりだ。
 キャリア形成では、新人を含めた若手に大きな仕事を任せるなど積極的に挑戦をさせている。ポイントは、①単に若手に仕事を割り振って終わりとせず先輩や上司が目配りを行き届かせ忍耐強く見守っている、②いざというときはしっかりとフォローをしている点であろう。結果として若手は支えてもらえる安心感や、大きな仕事に取り組むやりがいを感じながら、助けてもらうからには全力を尽くそうとする。そして壁にぶつかりながらも試行錯誤するなかで成長を遂げていく。
 一般的に育成よりも目先の成果を優先しがちであるが、同社でこの組織文化が根付いているのは新入社員研修が大きな役割を果たしている。30年以上にわたりほぼ同じプログラムだという同研修では、トレーナーと数名の新人がグループとなり様々な課題に取り組む。その過程で互いに支え合うこと、やり抜くことといった組織の価値観を理解していく。学びは新人にとどまらない。多くの社員はトレーナー役を務め、そのなかで後輩たちを支援する姿勢、手法を体得する。さらには日常の場面で自らが果たす役割を確認するための「困ったら戻る場所」としても機能している。

(vol.5に続く)

この記事の専門家

公益財団法人 日本生産性本部 人材開発コンサルタント/キャリアコンサルタント

栗林 裕也

早稲田大学政治経済学部卒業後、民間企業を経て公益財団法人日本生産性本部に入職
動画やアセスメントツールを活用しながら受講生の「気づき」を促し、「行動変容」につなげる研修スタイルに定評があり、多くの継続クライエントを持つ。 主な著書に、「生産性革新と社会経済の未来」(生産性労働情報センター・共著)。

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