感情労働による心理的影響①否定的側面 ~「感情労働」への組織的支援 vol.8

執筆者:田村 尚子

更新日:2017年03月13日

感情労働による心理的影響①否定的側面

(vol.7の続き)

 一方、「深層演技」は表面的にそうした〝フリ〟をするのではなく、心からそう思うように自分の心に働きかけ、本来の自分の感情を変えていく方法である。「辛いときでも笑うのは、パークにいる自分が笑ってなければ仕方ないだろうと思い(自分に)言い聞かせるのもありますし、……」(テーマパーク従業員)。 こうした感情労働を日常的かつ頻回に行うと、人の心は一体どうなるのだろうか。ホックシールドは、(1)本当の自己と偽りの自己との疎隔、(2)(1)から生じる感情的な落ち込みや凍え、(3)バーンアウト等、感情労働の酷使に起因する感情的機能不全を指摘している。
 ③「深入り」。病棟勤務の看護師や介護士のように比較的長い期間、特定の相手との関係を継続する場合、「表層演技」は、深い信頼関係を築く上でむしろ弊害になることもある。
 しかし、一方で同志社大学の久保真人教授は、相手に信頼されるための〝ひたむきさ〟や〝他人と深くかかわろうとする姿勢〟がバーンアウト発症の原因になっていると指摘する。バーンアウトとはストレス反応の一つであり、「仕事の上で日々過大な情緒的資源を要求された結果生じる情緒的消耗感」と定義される。相手(顧客等)のためにと一心不乱に全力で対応し、「深入り」していく過程で、当事者に自覚がなくとも〝心のエネルギー〟を大量に消費しており、情緒的資源の枯渇に至る場合も少なくない。感情労働を行使する対人サービス従事者が陥りやすいケースといえる。

(vol.9に続く)

この記事の専門家

西武文理大学サービス経営学部 教授

田村 尚子

上智大学法学部卒、学習院大学大学院修了

銀行役員秘書、昭和女子大学非常勤講師等を経て現職

専門は経営組織論、サービス・マネジメント、キャリア論
論文に「対人サービス従事者の感情労働に対する組織的支援のフレームワークに関する一考察」等

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