感情労働への組織的支援-三層支援体制 ~「感情労働」への組織的支援 vol.15

執筆者:田村 尚子

更新日:2017年04月20日

感情労働への組織的支援-三層支援体制

(vol.14の続き)

 感情労働の行使から生じる心理的影響の否定面の軽減および肯定面の増大について、個人・集団(チーム)・組織の各レベルから具体的対処を検討してきた。その中で、まず最優先に強化されるべきは、組織的支援の要となる「チーム力」である。なぜならば良好なチームには、個人で対処しきれない精神的負担を吸収し、癒し、再生する場としての機能があるからである。上司・同僚で構成される班(チーム)で行われる朝礼や研修等の相互交流を通して感情労働についての情報や暗黙知を共有し、感情管理技術等を学び合い、また顧客からのプラスの評価を喜び合う成長の場として、チーム力を発揮しているA社(前回)はその1例である。
 また、組織レベルの対処の一つとして取り上げた「一定の裁量の付与」に関しては、いわゆる〝丸投げ〟にならぬよう、裁量の基準を明確にし、効果的に機能するような管理・支援体制が求められる。昨今は部下への支援を強調したリーダーシップ理論(エンパワリング・リーダーシップ理論、サーバント・リーダーシップ理論等)が注目されている。現場の第一線で働く部下が職務遂行において自律性を十分に発揮でき、さらに自己有能感がもてるよう、管理者(ミドルマネジメント等)の支援の必要性を論じている。この理論の背景には目まぐるしく変化し多様化する社会環境がある。上司からの指示命令を待つだけの体制では、環境や状況変化に瞬時に対応することが困難である。そこで、部下が自律的に動けるよう、またその能力を十分に発揮できるよう職務環境を整備するなど様々な支援が求められるのである。対人サービスの現場では、対面する多様な相手(顧客等)の個別具体的な要求にきめ細やかにかつ迅速に対応することが多い。まさに「支援のリーダーシップ」が求められる現場といえる。
 以上のように、個人のスキル向上、チーム力の強化、適切な裁量の付与の背後には、現場を支援する管理者(ミドルマネジメント等)の存在が欠かせない。支援には、人間関係の軋轢等で機能しないチームへの直接的な関与も含まれる。

(vol.16に続く)

この記事の専門家

西武文理大学サービス経営学部 教授

田村 尚子

上智大学法学部卒、学習院大学大学院修了

銀行役員秘書、昭和女子大学非常勤講師等を経て現職

専門は経営組織論、サービス・マネジメント、キャリア論
論文に「対人サービス従事者の感情労働に対する組織的支援のフレームワークに関する一考察」等

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