革新にこそ企業存続の秘訣 ~ 老舗の革新 vol.2~

執筆者:神田 良

更新日:2017年03月29日

革新にこそ企業存続の秘訣

(vol.1の続き)

 やはり革新にこそ企業存続の秘訣があると言えよう。
 もちろん老舗の歴史から考えると、その革新スピードは緩やかなものである。老舗の時間軸は長いからである。顧客の立場からすれば、老舗が提供する「変わらないもの」に魅力を感じて、そうした商品・サービスを愛顧する忠誠顧客になる。
 また、その商品・サービスを通して老舗の企業個性との間に一体感を感じる。次々と変わってしまうものでは、こうした忠誠心は持てないとも言える。変わっていないようでも、少しずつ変わっている。多くの老舗は漸進的な革新を実践している。

 とはいえ、われわれの調査でも、老舗の革新には多くのパターンがあることもわかっている。時代の波に洗われて、事業の中核をなしていた商品・サービスの市場が縮小、場合によっては消滅することもあり、大きく事業を転換せざるを得ないこともある。急進的な変革が求められ、蓄積してきたノウハウなどを活用して新たな事業に踏み出すことも必要となる。

 伝統的な産業で時代に合わせて革新を導入して事業の深耕を通して存続してきた企業、中核的な事業で培ってきたノウハウを生かして事業の多角化に挑んできた企業、ニッチ市場に焦点を当てて堅固な地盤を築き上げてきた企業、技術ノウハウを生かしてハイテク領域に進出することを実現した企業――など、様々なパターンがある。
 老舗経営は、まさに伝統と革新という矛盾を、積極的に止揚(融合させ、新しいものを生み出す)してきた歴史である。
 次回から、老舗革新の代表的な事例について、その軌跡を追ってみることにしよう。

(vol.3に続く)

この記事の専門家

明治学院大学経済学部 教授

神田 良

一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了

1982年明治学院大学経済学部専任講師、86年同助教授を経て1993年から現職

著書に『実務入門 経営をしっかり理解する』(日本能率協会マネジメントセクター、共著)など
「老舗に学ぶ企業永続のマネジメント」(『信用金庫』2012年10月号)など学術論文多数。戦略研究学会理事

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