商品革新で市場を開拓する ~ 老舗の革新 vol.3~

執筆者:神田 良

更新日:2017年03月31日

商品革新で市場を開拓する

(vol.2の続き)

【山本海苔店①】

 日本の食卓には欠かせない伝統食品である海苔。その歴史は古く、670年頃の風土記に紫菜(むらさきのり)を干していたとの記述があるし、大宝2(702)年には「調」として海産物29種の中に入ってもいる。長い間、日本人に愛されてきた食物である。こうしたことから、我々はあたかも海苔が昔から何も変わらぬ姿で、ずっと同じように売られ続けてきたように思い込んでしまいがちである。しかし、時間軸を長くとってみると、ここでも変革が遂げられている。

 山本海苔店は嘉永2(1849)年、初代山本徳治郎が、現在の本社がある日本橋室町に創業したのが始まりである。安政5(1858)年に家業を継いだ二代目徳治郎は、明治維新の荒波を越え、家業を発展させることに大きく貢献した。

 二代目が商いを展開している頃は、浅草海苔が産地ブランドとして確立していたが、それを商う問屋・小売はどこも、浅草海苔として仕入れて、それを浅草海苔として販売していた。いわば差別化がそれほど進んでいない状況であった。こうした中、明治天皇が京都行幸のお土産として東京の名産物を探していたことに応じて、創意工夫の末、焼海苔に味を付ける味附海苔を新商品として商品化したのである。明治2(1869)年のことである。今日では一般家庭の食卓に欠かせない味附海苔は、山本海苔店が新たなニーズに対応して開発した新商品なのである。これによって宮内省御用商人となり、いわばハイエンド市場の開拓に成功したのである。

(vol.4に続く)

この記事の専門家

明治学院大学経済学部 教授

神田 良

一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了

1982年明治学院大学経済学部専任講師、86年同助教授を経て1993年から現職

著書に『実務入門 経営をしっかり理解する』(日本能率協会マネジメントセクター、共著)など
「老舗に学ぶ企業永続のマネジメント」(『信用金庫』2012年10月号)など学術論文多数。戦略研究学会理事

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