商品革新で市場を開拓する ~ 老舗の革新 vol.4~

執筆者:神田 良

更新日:2017年04月17日

商品革新で市場を開拓する

(vol.3の続き)

 さらに商売でも工夫を重ね、海苔商品の差別化を進めた。海苔をその用途に合わせて8種類に分類したのである。食、棚、焼き、味、寿司、蕎麦、裏、大和と分類した。家庭用の食、進物用の棚、焼海苔、味附海苔、寿司用の寿司、蕎麦向けの蕎麦、小売だけでなく問屋としての機能も果たしていたことから、地方向けの裏、そして佃煮の大和である。この分類体系の設定も、業界初と言われている。
 商品に基づいて市場を細分化して、より明確なターゲット訴求を試みたのである。顧客からすれば買い求めるべき商品が明らかになるし、店からすればより深く個々の市場との結びつきを作り込むことになり、個別的なニーズに対応するための基盤を構築したのである。

 このような新たな商品を通して市場を開拓するといったDNAは、山本海苔店に根付いている。梅や鮭などの具材がまぶされていて、そのまま巻くだけで簡単に食することができる一藻百味など、既存市場での用途提案を含めた市場深耕のための新商品は言うに及ばす、ご飯のお供ではなく、違う用途で食べるといった市場を開拓するために開発された商品もある。例えばスナックとしても食べる「おつまみ海苔」はその代表であろう。

 「海苔ひとすじ」を掲げる山本海苔店。海苔にこだわり続け、伝統的な商品の改善・改良はもとより、新たな商品を世に出すことで、市場を切り開いている。

(vol.5に続く)

この記事の専門家

明治学院大学経済学部 教授

神田 良

一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了

1982年明治学院大学経済学部専任講師、86年同助教授を経て1993年から現職

著書に『実務入門 経営をしっかり理解する』(日本能率協会マネジメントセクター、共著)など
「老舗に学ぶ企業永続のマネジメント」(『信用金庫』2012年10月号)など学術論文多数。戦略研究学会理事

ミラサポおすすめコンテンツ

サービスを利用する
補助金など支援情報
無料派遣専門家
地域プラットフォーム
専門家派遣・電子申請のご利用は、こちらより企業IDをご登録下さい
ビジネスを創造する
ビジネス創造コミュニティ
業務「アプリ」マーケット
ミラサポビジネスプロジェクト/アワード
補助金・助成金ヘッドライン
ビジネス創造ヘッドライン
ビジログ
バーチャルシリコンバレー
ページトップに戻る