素材にこだわり、素材を生かす ~ 老舗の革新 vol.5~

執筆者:神田 良

更新日:2017年04月24日

素材にこだわり、素材を生かす

(vol.4の続き)

【山本海苔店②】

 老舗と非老舗の経営行動に関するわれわれの比較研究では、老舗は原材料・素材に対してより強いこだわりを持っていることが明らかになっている。製品品質へのこだわりが、企業個性つまり、その企業らしさにつながるからである。
 代々、良品廉価、良い品物を適切な価格で提供することを旨としている山本海苔店も製品の質にこだわり、素材に厳しい目を注いできている。

 創業の地である日本橋は、1923(大正12)年に築地へ移転するまでは魚河岸があった所である。海苔は海からの贈り物であるが、浅草川(隅田川)河口で採れた天然海苔を乾海苔にしたことに由来するという浅草海苔もかつてはここに集さばまり、売り捌かれていたのである。
 現在では養殖技術が発展し、海苔は日本全国で生産されている。漁業生産者が海苔を養殖して一次加工した乾海苔を、県漁連が指定した指定商が入札で買い入れる制度になっている。

 海苔の品質は、県漁連が等級を決めている。指定商はそれを基準として、自社の選択基準に基づいて買い入れている。一般に等級は色とツヤで判別される。とはいえ、判別には多少のバラツキがあるという。
 創業以来、自社の味にこだわってきた山本海苔店では、見た目も重要であるが、食べたときの口どけと味がもっと重要であると考える。そのため、入札では仕入担当者が等級を参考にしつつも、直接味を確認してから買い入れている。しかも、こうして買い入れた乾海苔は社長直轄の「仕訳技術室」で、自社の基準で用途に合わせて仕訳なおしている。二代目当主が導入した考え方を継承、改善しているのである。

(vol.6に続く)

この記事の専門家

明治学院大学経済学部 教授

神田 良

一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了

1982年明治学院大学経済学部専任講師、86年同助教授を経て1993年から現職

著書に『実務入門 経営をしっかり理解する』(日本能率協会マネジメントセクター、共著)など
「老舗に学ぶ企業永続のマネジメント」(『信用金庫』2012年10月号)など学術論文多数。戦略研究学会理事

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