素材にこだわり、素材を生かす ~ 老舗の革新 vol.6~

執筆者:神田 良

更新日:2017年04月25日

素材にこだわり、素材を生かす

(vol.5の続き)

 海苔の一生が正確にわかったのは、実は1949(昭和24)年、イギリス海藻学者ドリュー女史が、発芽糸状体が貝殻の内層に侵入して夏を越すことを発見したときである。より科学的に海苔を解明できるようになったのである。
 山本海苔店も1961(昭和36)年には大森海苔研究所を開設し、陸での海苔養殖の可能性を検討するなど、科学的な視点を取り入れている。

 こだわりの原料を仕入れたとしても、それだけでは良品を提供することはできない。二次加工で製品へと作り込む製造工程での革新も欠かせない。夏を越した糸状体が海苔になるのは秋で、11月から12月にかけて柔らかく香りが良い一番摘みが取れる。
 山本海苔店はこれを仕入れてすぐに冷凍し、出荷に合わせて必要量を解凍して製品化する一貫生産を早くから導入、改善・改良に努めている。これによって、一年中風味豊かな海苔を提供できる態勢を整えている。生産革新に伴い、最初は産地に近い大森作業所(東京都)で生産していた海苔加工も、近代化した秦野工場(神奈川県)へと移し、供給能力を高めてきた。

 山本海苔店が仕入れる海苔は、その品質に定評がある有明海産のものである。産地で調達した海苔の良さをさらに引き出すために、2014(平成26)年、佐賀工場(佐賀県)を竣工し、最先端技術を生かした一貫生産体制を構築した。素材へのこだわりは生産革新にもつながっている。

(vol.7に続く)

この記事の専門家

明治学院大学経済学部 教授

神田 良

一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了

1982年明治学院大学経済学部専任講師、86年同助教授を経て1993年から現職

著書に『実務入門 経営をしっかり理解する』(日本能率協会マネジメントセクター、共著)など
「老舗に学ぶ企業永続のマネジメント」(『信用金庫』2012年10月号)など学術論文多数。戦略研究学会理事

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