出会いを創る ~ 老舗の革新 vol.7~

執筆者:神田 良

更新日:2017年04月26日

出会いを創る

(vol.6の続き)

【山本海苔店③】

 老舗の顧客対応は、培ってきた歴史や商品へのこだわりを物語として伝える顧客との対話の場でもある。一方的に会社の思いを伝えるのではなく顧客の思いにも耳を傾け、双方向のコミュニケーションによって、既存顧客とはより深い関係性を、新規顧客とは新たなつながりをつくっている。顧客と出会いの場を創造することに一日の長がある。

 山本海苔店もまた、そうした顧客との接点づくりに挑戦してきた。二代目当主が海苔をその用途に応じて8種類に分け、それぞれの顧客に合わせた商品と流通チャネルを充実させたのは、その始まりである。より多くの顧客との出会いの場を創り込んだのである。

 続く三代目は、現在に続く商標「まるうめ」を考案し、販路も国内だけでなく、遠くハワイやアメリカ本土にも広げた。1902(明治35)年に商標登録された梅マークは、梅は海苔と同じで香りが立ち、梅が咲く寒中にもっとも上質の海苔が採取されたことに由来するという。国内では、三越呉服店(当時)が日本最初の食品売り場を開設した1914(大正3)年、いち早く出店している。

 さらに、関東大震災で魚河岸が日本橋から築地に移転したときには、四代目が築地営業所を開設して魚河岸顧客との関係を維持・強化している。新たな流通チャネルの開拓に挑み続ける変革の遺伝子が形成されてきたのである。

(vol.8に続く)

この記事の専門家

明治学院大学経済学部 教授

神田 良

一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了

1982年明治学院大学経済学部専任講師、86年同助教授を経て1993年から現職

著書に『実務入門 経営をしっかり理解する』(日本能率協会マネジメントセクター、共著)など
「老舗に学ぶ企業永続のマネジメント」(『信用金庫』2012年10月号)など学術論文多数。戦略研究学会理事

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