これからのキャッシュフロー活用法 1 ~従業員への意識づけ編~

執筆者:柿本 美沙

更新日:2017年10月30日

財務の実態を表すもの

 「利益は意見、キャッシュは事実」。長年ソニーのCFOを勤めた伊庭保氏の名言である。
 損益計算書に表れる利益だけでは企業の財務体質を見抜くことは難しく、また、どのような利益を基にした経営指標で事業を評価するのかは経営者が自分の意見で決めることができてしまう。
 一方、キャッシュは「会社にいま、金がどれだけあるのか」という事実をそのまま表す。

 「黒字倒産」という一見矛盾した言葉の存在自体が、利益だけに着目する経営の危険性を示している。良好な状態を表すはずの「黒字」という言葉に続く、最悪な局面を表す「倒産」。これを回避し、財務状態の安定を目指すには、キャッシュフローへの着目は欠かせない。

 貸借対照表・損益計算書は15世紀から存在し、様々な変遷を辿って現在の企業会計を形作っている。一方、キャッシュフローが重視されるようになったのは、日本においては2000年前後の会計ビックバンの時期であり、たったの17年程度しか経っていない。

 今後は、いま活躍する人たちがキャッシュフローの歴史を刻んでいく時代だ。中小企業の経営者たちも、今やキャッシュの動きに触れることなく経営は語れない。金融機関の担当者との会話の中でもキャッシュフローの登場頻度は増えており、今後も確実に重要度が増していくことを実感している経営者は多いことだろう。特にこれからは経営者がキャッシュフローへの理解を深めるだけでなく、実務で活躍する従業員にもキャッシュフローを意識させる仕組みをどんどん開発することで、全社でのキャッシュフロー経営を目指すべきだ。

 そのひとつの手法として、本稿では「評価基準に取り入れること」を挙げる。人事評価にキャッシュフローを活用するということは、従業員に「キャッシュフロー最大化へのインセンティブを働かせる」ということだ。具体的な手法を次回以降で示していく。

これからのキャッシュフロー活用法 2に続く

この記事の専門家

柿本 美沙

中小企業診断士。津田塾大学学芸学部英文学科卒業。
大手OA機器メーカー系販売会社にてITソリューション営業に従事。法人相手に、経営課題解決に向けた提案型営業を実施。その後、人材系広告会社に転身し、グローバル人材ニーズのある企業を中心に人材採用支援についての提案活動に従事。現在は独立開業し、若手法人営業向けの教育コンテンツ開発やトレーニングを実施。また主に大手企業を対象とした財務会計系の法人研修ビジネスに携わり、企業ニーズに合わせた教育コンテンツの企画提案、開発を実施している。

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