中小企業だからこそ考えるべき睡眠負債の問題 2 ~収益向上編~

執筆者:柳内 茂樹

更新日:2017年12月19日

睡眠負債解消で生産性向上

(1の続き)
 睡眠負債の問題への対応により考えられる、いくつかの効果を以下に挙げるが、いずれも最終的には生産性の向上を通じて事業収益の向上が図れる点に注目したい。

(1)時間的・費用的効果
 「2015年版 中小企業白書」(中小企業庁)第1部第3章「中小企業・小規模事業者を取り巻く環境」によれば、費用調整の考え方で、高収益企業と低収益企業との間で差が顕著に出ているのは、「従業員の労働時間の削減」と「従業員賞与・給与の削減」であり、高収益企業では「従業員の労働時間の削減」を重視する企業の割合が高いのに対し、低収益企業では「従業員賞与・給与の削減」を重視する企業の割合が高いようだ。

 これは、高収益企業では直接的に人件費を削るのではなく、時間外労働を削減することで間接的に人件費を削減していることを意味している。これが就労意欲を低下させることなくパフォーマンスを維持させ、生産性を向上させることにつながっているのではないだろうか。
 なお、労働時間と睡眠時間は表裏一体の関係であり、労働時間の削減の一環として睡眠負債の問題に取り組むことは、生産性向上に寄与するものと思われる。

「睡眠負債解消への取り組み」→「時間外労働の削減」→「生産性向上」→「収益向上」
「睡眠負債解消への取り組み」→「時間外労働の削減」→「人件費削減」→「収益向上」

(2)心理的・意欲的効果
 「人材マネジメントのあり方に関する調査」および「職業キャリア形成に関する調査」結果(独立行政法人労働政策研究・研修機構、平成27年)によれば、労働者の就労意欲が高いと考えている企業では、労働者の定着率や労働生産性が高いと考える割合が高く、企業の収益性を示す財務指標である売上高経常利益率も高い傾向があることが示された。また、自社の労働者の就労意欲が高いと考える企業では正社員、非正社員に対して広範な雇用管理に積極的に取り組んでいることも示された。
 さらに、雇用管理の実施状況に関する回答で、就労意欲が高いと考える企業と低いと考える企業とのポイント差が一番大きかった項目が、「長時間労働対策やメンタルヘルス対策(非正社員)」であったことは非常に興味深い事実だ。

 労働時間と睡眠時間は表裏一体の関係であるため、従業員に対する睡眠負債解消への取り組みが、就労意欲向上のための雇用管理対策の一つとして有効であり、従業員定着率や生産性向上を通じて収益向上に寄与する可能性があることを示している。やはり労働時間の削減の一環として睡眠負債の問題に取り組むことの重要性が示唆される。

「睡眠負債解消への取り組み」→「就労意欲の向上」→「従業員の定着率向上」→「技術や経験の蓄積」→「生産性向上」→「収益向上」

 次回は、睡眠負債の問題を解決するため、職場環境改善に向けた具体的な対策について説明したい。

中小企業だからこそ考えるべき睡眠負債の問題 3に続く

この記事の専門家

中小企業診断士

柳内 茂樹

横浜市立大学大学院医学研究科修士課程修了
大手コンビニエンスストアにて、オリジナル商品向けの原料調達業務を行っている。
地産全消をモットーに、商品開発ニーズにマッチした全国各地の農産物を新規開拓。
サプライチェーン全体を俯瞰し、産地に遡った調達、調達構造改革を行うなど、戦略的・主体的な調達を実施。

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