中小企業における健康経営の実践 1 ~課題整理編~

執筆者:泉 とも子

更新日:2018年03月22日

日ごろの意識が継続のカギ

 筆者が寄稿した「中小企業における健康経営」では、健康経営に取り組むメリットとして、職場の活性化、生産性の向上、企業価値の向上などの効果を取り上げた。
 本稿では、中小企業が健康経営を実践するに当たって留意すべき点を具体的に解説したい。

 まず、健康経営に取り組み始めた企業が陥りやすい2つの例をご紹介しよう。
 1つ目は、経営者が、「なんだか流行っているから、とにかく『健康企業宣言』を早くやろう」と言い出して、形だけ整えて宣言したというパターンである。この場合は中身が伴わずに継続できない。

 2つ目は、健康課題に対する「施策の数値目標」を設定して、その達成のみに重点をおいてしまうというパターンである。健康診断受診率が向上したからといって、従業員が健康になったとはいえないのに、受診率改善だけが目的化してしまうという事例である。

 いずれもトップダウンによる形式的な取り組みで、本来必要な「自社の健康課題を把握する」というステップが抜けていることが継続できない理由であろう。

 では、どういった工夫をすれば、ボトムアップで無理なく継続できる取り組みにすることができるのだろうか。「これさえやれば従業員が健康になる」といったパッケージ化された取り組みはないため、健康経営の進め方に迷っている経営者は少なくないだろう。
 しかし、難しく考える必要はない。まずは、従業員に「あなたが健康であるために、会社はどういったことをすればいいだろうか?」と、直接聞けばいいのだ。そもそも自社の健康課題は、従業員一人ひとりの課題によって構成されているので、それが唯一の正解だといえよう。
 はじめに、健康づくりの推進担当者を選任して、従業員が抱えている健康課題を拾い集め、皆の役に立つ対策を考えることから始めよう。ある程度集まったら、関連のある課題ごとに整理するとよい。

 経済産業省が日本健康会議と連携して設置する「健康経営優良法人認定制度」では、中小規模法人部門における「制度・施策実行」の認定基準として、以下の3項目を定めている。これらを課題整理の参考としてもよい。
(1)従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討
(2)健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲイジメント
(3)従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策

 ポイントは、結果重視ではなく、話し合うプロセスが重要だということ。経営者が従業員の要望に耳を傾け、職場環境に配慮することで、「大切に扱ってくれる」という実感を従業員が持つことが、やる気を引き出す鍵となる。
 また、食習慣や運動習慣、メンタル面に関連する具体的対策を示して実践させることで、従業員は心身のコンディションが整ってくることを実感し、自分の体調を気遣う習慣ができるだろう。
 一人ひとりが「健康」を日頃から意識することが、取り組みを継続するための大切なポイントなのである。

 次回は、法令遵守の観点から健康経営への取り組みを説明したい。

中小企業における健康経営の実践 2に続く

この記事の専門家

中小企業診断士

泉 とも子

国際基督教大学教養学部語学科コミュニケーション専攻 卒業
外資系金融機関のストラクチャードファイナンス部アシスタントを経て、経営コンサルティング会社で、ハンズオンによる株式公開支援ファンドの運営および経理、総務、人事など会社経営全般に従事。その後、出産・育児のために専業主婦となるも、幼稚園のPTA会長、小学校PTA役員などを通じて、地域コミュニティでのボランティア活動を数多く経験。仕事の経験を活かして中小企業診断士となり、地域社会に貢献するため様々な方面で活動している。

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