身近な産業財産権である商標権・意匠権 3 ~意匠編~

執筆者:兵藤 徹

更新日:2017年12月08日

意匠は美しく使いやすい外観

(2の続き)
 順調に売上を積み上げてきた製品が、ある時なぜか売上が落ちてきた。調べてみたら、まったく同じデザインの製品を別の会社が3割も安い値段で販売していて、顧客はそちらを自社の製品と勘違いして購入していた。

 上のような事態が起こらないようにするためにはどうしたらいいだろう。「意匠」という言葉は、あまり聞き慣れない言葉かもしれない。
 意匠とは、物品の外観がより美しくあること、より使い心地の良い外観を求めるものであり、外観という性質から識別も容易である。意匠は、外観という性質から簡単に模倣することができるため、権利として守られなければ、健全な産業の発展を阻害するため、財産として保護し利用を図ることを意匠法で定めている。

 意匠は、「物品の形状(部分の形状も含む)、模様、色彩、これらを組み合わせたものであり、視覚を通じて美観を起こさせるもの」と規定されている。物品を操作するための画面のデザインも意匠法における意匠とされている。また、工業上利用できるものであることも条件の1つであり、量産される物品のデザインであることも必要である。
 具体的には、車の外観のデザイン、カメラの操作画面のデザインなどがこれに当たる。

 「意匠権」は、特許庁へ出願し、審査を経て登録されることにより権利となり、同一および類似の意匠について登録された意匠の実施する権利を占有できることになる。
 意匠権も商標権と同様に先願主義であり、先に出願したものが登録されることになる。登録存続期間は20年である。

 どんな意匠が登録されているのかは、商標と同様に特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で検索し、確認することができるが、こちらの検索にも知識とテクニックが必要である。商標と同様に、各都道府県に設置されている「知財総合支援窓口」の活用をおすすめしたい。

 以上のように、商標権・意匠権は、事業活動を行っていくために欠かせない屋号や商品名・サービス名、製品の外観などを対象にしている産業財産権である。
 自社が使おうとしている商標や意匠は、使用しようとする前に他社が権利化しているかどうかを確認しなければ、安心して使うことはできない。先願主義の権利であるため、自社が使うこれらのものを他社が権利化した場合には、自社の商品を販売することができずに、不利益を被ることになる。

 そのため、産業財産権を避けて通るのではなく、日頃から意識するように心がけてほしい。特許庁などが各地でイベントやセミナーなどを開催しており、産業財産権の理解と活用促進に努めている。また、既に権利化、出願されたものの調査やトラブルの解決などには、専門家として弁理士が対応してくれる。
 こうしたイベントや窓口を通じ、産業財産権に少しでも関心を持ち、安心して事業を継続できるように対応に努めていただきたい。

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この記事の専門家

兵藤 徹

中小企業診断士、1級販売士、静岡県商工会連合会小規模企業パワーアップ支援事業専門家、日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格者、食の6次産業化プロデューサーLevel3

地方公務員として、用地取得業務、税務賦課・収納業務、公園・施設管理業務などに従事。中小企業診断士として独立後は、補助金の申請援助、ものづくり補助金事業者のフォローなどを行っている。農林水産業、飲食業に詳しく1次産業と3次産業を繋いでいる。公益社団法人愛知県中小企業診断士協会の「日本弁理士会東海支部との連携プロジェクト」メンバーとして、中小企業診断士と弁理士が連携して行う中小企業への知財支援の研究・実践を行っている。

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