新入社員の戦力化を促進するOJTのコツ 1 ~現状問題編~

執筆者:秋田 和洋

更新日:2017年11月13日

従来型OJTの機能不全

 OJT(On-the-Job Training)とは、中途や新卒で企業に入社する社員(以下「新人」という。)に対して、指導担当の先輩(以下「指導担当者」という。)が日常業務を通じて仕事の能力を高める教育訓練である。新人は業務を進めながら、問題に直面した際に指導担当者からその問題を解決するために必要な知識やスキル、考え方を教わることで自身の職務領域を拡大していく。

 OJTは古くから日本企業に根付く教育手法である。しかし、近年このOJTが機能不全を起こしている。原因は「働く人の価値観」と「働き方の構造」の2つの変化にある。

 まず、「働く人の価値観の変化」について説明する。日本経済が成熟し、終身雇用の終焉が叫ばれる昨今において、若者の会社に対する帰属意識が希薄化している。「ワーク・ライフ・バランス」が提唱され、高度経済成長期のように仕事が最優先に考えられていた世の中ではなくなり、仕事だけでなく私生活の充実も大事にする、という考え方が一般に浸透してきている。
 指導担当者の悩みを聞くと、「新人の考えていることがわからない」という声が多くあがる。指導担当者と新人との仕事に対する価値観のギャップが、このような悩みの原因となっている。

 次に「働き方の構造の変化」である。誤解を恐れずに言うと、20世紀は頑張れば頑張った分だけ成果を上げられ、それに見合った評価と報酬を手に入れられていた。一方、現在は社会構造が複雑化し、頑張ることと成果が正比例しない。企業は生き残りをかけて業務の高度化、効率化を進めているために、以前は新人の仕事であった単純作業がITシステムに取って代わられ、新人に期待される役割や求められる成果は年々高まっている。

 それは指導担当者にも同じことが言える。業務成果を上げることが優先されるため、従来のように時間をかけて新人に手取り足取り指導することは難しくなった。また、成果主義が浸透したことで自身のノウハウを伝えることにためらいも生じてしまう。

 このような変化により、一種の徒弟制度のような、時間をかけて仕事のイロハを伝承しながら育成する従来型のOJTが機能しなくなっている。
 では、効果的に新人を戦力化するためには、どのようにOJTを設計するべきなのか。
 次回は、そのポイントについて説明する。

新入社員の戦力化を促進するOJTのコツ 2に続く

この記事の専門家

中小企業診断士

秋田 和洋

横浜国立大学教育人間科学部 卒業

株式会社ウィル・シードにて大手企業を中心に主に新入社員や若手社員向けの教育施策のコンサルティングに従事。新入社員・若手社員が活躍するための場としてOJT施策の導入支援も多数経験。2016年4月、中小企業診断士登録。現在はこれまでの経験と資格を活かし、グローバルコンサルティングファームにて企画・人事・経理といったコーポレート機能を担い、経営層のサポートをしながら、チームの若手メンバーの指導にあたっている。

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