改めてブランド戦略の本質を確認する 2 ~訴求軸編~

執筆者:秋田 和洋

更新日:2017年11月30日

ぶれない軸で買い手に訴求

(1の続き)
 企業が強いブランドを作りたいと思い立った時、まずは何から始めればよいだろうか。それは「ブランド・アイデンティティ」を明確にすることである。ブランド・アイデンティティとは何か。ひと言でいえば、ブランドの「ありたい姿」である。買い手に、ブランドに対してどのようなイメージを持ってもらいたいかを明確にし、訴求する。
 ポイントは以下の2点である。

(1)価値
 ターゲットとなる買い手にとって「価値」があるということは欠かせない。買い手が求めているのは商品そのものではなく、その商品がもたらす価値である。
 マーケティングの世界では「ドリルを買いに来た人が本当に欲しいのはドリルではなく穴である」というセオドア・レビットの言葉が有名である。
 ブランド戦略を考えるとき、買い手がその商品・サービスからどのような価値を受け取るのか。あくまでも買い手の立場から考える必要がある。

(2)ストーリー
 強いブランドは、買い手にストーリーを提供する。単に商品・サービスを購入したというだけでなく、その裏側にあるストーリーへの共感がある。

 例えば、同じ味のオムライスを提供しているレストランが2店あったとする。一方は国産の食材にこだわり、生産者から直接仕入れているため、生産者の顔や名前、出荷されるまでの苦労が分かるようになっている。そのため、価格は1,200円とやや高めの設定である。もう一方は近くのスーパーで仕入れた外国産の食材を使用している。価格はリーズナブルで980円。あなたなら、どちらのレストランで食事をしたいと思うだろうか。
 経済合理性だけを追求するのであれば、1,200円のオムライスは選ばれない。しかし、読者の中には少し高い値段を支払ったとしても前者のレストランで食事をしたいと考える人がいるのではないだろうか。それはオムライスを購入したのではなく、その裏側にあるストーリーに共感し、オムライスそのもの以外に対しても値打ちを見出したからこそ選ばれたのだろう。

 このように、買い手に訴求する軸には価値とストーリーがあるが、両者の間に明確な違いがあるわけではなく、重なり合う部分もある。要は、買い手に訴求するブランド・アイデンティティを明確にすることで、売り手側は何をすべきか、あるいは何をすべきでないかが明確になるということである。ぶれない軸を持つことで、買い手に想起させるイメージはより強固なものになっていく。
 次回は、このブランドにおける重要な要素の1つである、商品・サービスの「価値」とはどのようなものか説明する。

改めてブランド戦略の本質を確認する 3に続く

この記事の専門家

中小企業診断士

秋田 和洋

横浜国立大学教育人間科学部 卒業

株式会社ウィル・シードにて大手企業を中心に主に新入社員や若手社員向けの教育施策のコンサルティングに従事。2016年4月、中小企業診断士登録。現在はこれまでの経験と資格を活かし、グローバルコンサルティングファームにて企画・人事・経理といったコーポレート機能全般を担う。幅広い守備範囲で経営層の意思決定をサポートしている。

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