中小企業における役員給与の決め方を知ろう 3 ~決定手順編~

執筆者:佐藤 昭一

更新日:2018年02月15日

業績予想から支給可能額を算出

(2の続き)
 前回では、役員給与は毎月同額である必要があること、また、変更するときは原則として事業年度開始から3カ月以内に行うことをお伝えした。今回は、その制限内でどのように役員給与の額を決めたらいいのかを説明したい。なお、起業した初年度も設立した日から3カ月以内に決める必要がある。

 まずは、今期の業績の予想を立てることから始める。どのくらいの売上が見込まれて、どのくらいの経費がかかるのか、役員給与を除いた状態で試算をしてみる。売上から経費を差し引いたものが、役員給与を支給する前の利益となり、これが役員給与支給の原資となる。
 仮に、その金額が1,000万円としよう。1,000万円を全額、役員給与として支給してもいいし、役員給与を500万円として会社に残す利益を500万円とするようなことも可能だ。役員給与を支給すると、法人の場合、社会保険料の事業主負担分の支払が必要となる。金額は役員給与の約15%の額(上限あり)となるので、上記のケースでは 1,000万円÷1.15≒870万円 の支給とすると、会社の利益が0になる。このように、今期の業績の予想を立てて、役員給与の支給可能額がどのくらいあるのかを把握することがポイントとなる。

 次のポイントとして、社長個人の生活費として月にどのくらい必要となるか、を試算しておく。生活費が月に50万円かかるのに、役員給与として20万円しか受取らないことにすると、生活費が足りなくなり会社からお金を借りることになりかねないので、生活費の額を試算しておくことが重要である。
 仮に、税金や社会保険の負担も含めた生活費として月に45万円必要だとすると、年間で540万円となる。これを役員給与の下限とするべきで、役員給与を支給する前の会社の利益が1,000万円とする前述のケースだと、540万円から870万円までの範囲内で役員給与を決めることとなる。

 ここまで試算できたら、役員給与の額を540万円として会社に残った利益は投資に回したり、役員給与の額を870万円として本人の資産を増やしたりと、個々の会社の状況に合わせて選択をすることとなる。
 業績予想が立てにくい業種の場合には、売上のピークが事業年度開始から3カ月以内の時期になるように決算月を決めておくと業種予想が立てやすくなり、役員給与の額を決めやすくなる。

 法の規定の範囲内で適切な役員給与の額を決定することで、残りの利益を設備投資や営業に充てることができる。これにより、適切に法人税等を納めながらも、戦略的な経営につなげていただきたい。

この記事の専門家

佐藤 昭一

税理士。明治学院大学経済学部卒。
大学在学中からダブルスクールで税理士試験に挑戦し、卒業後は試験勉強と税理士事務所での仕事を両立させる。税理士事務所での仕事と並行してリサイクルショップを経営していたこともある。2つのことを同時並行させるために実践していたITを駆使した業務効率化、リサイクルショップ起業の経験を活かした経営支援を得意としている。最近は、体を動かすことに目覚めスポーツと仕事を同時並行させている。

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