若手経営者に向けた、源泉所得税の留意点 3 ~見落としやすい事例編~

執筆者:佐藤 昭一

更新日:2018年07月06日

非居住者等への支払いは要注意

(2の続き)
 前稿までに、給与の支払いや弁護士・税理士などへの報酬の支払いの際には、源泉所得税を差し引いて支払いをしなければならないことを解説した。他にも、法律で定められている人に対して報酬などの支払いをする場合には、会社は源泉所得税を差し引く義務が課されている。
 具体的には、株主への配当の支払い、外交員への報酬の支払い、作家への原稿料の支払いおよび大学教授への講演料の支払いなどの場合に、源泉所得税を差し引いて支払いをする。

 思わぬところで徴収漏れが発生してしまうのが源泉所得税の怖い所だ。筆者が接してきた事例として、源泉徴収漏れを指摘されることが多いのが、非居住者や外国法人への所得支払い時に源泉所得税を差し引くのを忘れてしまうケースだ。

 最近の事例として、会社が借り上げていた社宅の家賃の支払いの際に源泉徴収漏れがあった。不動産の賃借料については、通常は源泉所得税の対象とはならない。ところが支払い先が「非居住者」である場合には、家賃の支払い時に会社が源泉所得税を徴収する必要があるのだ。税法上の「非居住者」とは、国内に住所や1年以上の居所を持たない個人を指す。
 この場合の源泉所得税の税率は、20.42%と大きい。また、家賃の支払いは毎月継続してあるものなので、もし初めに源泉徴収が不要であると判断を誤ってしまうと、会社の納付漏れ税額は大きくなってしまう。これを防ぐため、物件の契約時に仲介会社を通して物件のオーナーが「非居住者」かそうでないかの確認が必要だ。特に海外転勤に伴い持ち家を賃貸に出すケースなどがあり、源泉徴収漏れが生じやすい。

 同様に注意が必要なのは、外国法人への支払いである。国内の法人に対する支払いについては、一部を除いて源泉徴収の対象となることはない。だが、本店所在地が外国である法人に対して不動産の賃借料などの支払いをする場合、「非居住者」と同様に源泉徴収の対象となる。「法人に対しては源泉徴収の必要はない」と思い込むことのないよう注意が必要である。

 最後に、源泉徴収の仕組みを会社の資金繰りに活かす方法をお伝えする。所得税に限らず、必ず支払いをしなければならない法人税や消費税においても、金額が判明した時点で、あらかじめ会社の預金から源泉徴収の要領で預かっておくのだ。預かったお金は、使わないように普段使用している口座とは別の口座などに分けておく。そして、納税のタイミングが来たらその預金を使って納税をするようにし、別口座に資金をプールしておくことで、資金が必要な都度、金策に走る必要がなくなり、資金繰り対策となる。
 このように、源泉徴収の仕組みを応用することで会社の資金繰りに活かすことができる。若手経営者の皆さまには、源泉所得税の理解を深め、適正な納付を行ってほしい。

この記事の専門家

佐藤 昭一

税理士。明治学院大学経済学部卒。
大学在学中からダブルスクールで税理士試験に挑戦し、卒業後は試験勉強と税理士事務所での仕事を両立させる。税理士事務所での仕事と並行してリサイクルショップを経営していたこともある。2つのことを同時並行させるために実践していたITを駆使した業務効率化、リサイクルショップ起業の経験を活かした経営支援を得意としている。最近は、体を動かすことに目覚めスポーツと仕事を同時並行させている。

ミラサポおすすめコンテンツ

サービスを利用する
補助金など支援情報
無料派遣専門家
地域プラットフォーム
専門家派遣・電子申請のご利用は、こちらより企業IDをご登録下さい
ビジネスを創造する
ビジネス創造コミュニティ
業務「アプリ」マーケット
ミラサポビジネスプロジェクト/アワード
補助金・助成金ヘッドライン
ビジネス創造ヘッドライン
マイナンバー制度ヘッドライン
バーチャルシリコンバレー
ページトップに戻る