これだけは知っておきたい!財務分析指標の使い方 1 ~必要売上の算出編~

執筆者:佐藤 昭一

更新日:2018年10月12日

「黒字になる売上」を簡単に算出する

 ある日、親会社へ報告する次年度の予算を作成していた中小企業の経営者から、次のような相談を受けた。
 「来年は、人を増やして売上を拡大させたいと考えているが、人が増えたときに今の利益と同じぐらいの利益を確保するにはどのくらい売上を確保すればいいのだろうか?」というものである。そこで、筆者は人が増えたときに増加する費用を確認し、さっと電卓で計算して答えを導き出してみた。すると経営者からは、「どうしてそんなに早く答えが出せるのか?」と非常に驚かれたことがある。
 今回のコラムでは、そんな魔法のようなツールを紹介したいと思う。筆者が使用したのは、財務分析指標の1つである「損益分岐点売上」である。財務分析指標を使えるようになると、決算書の数字を理解する助けとなるので、この損益分岐点売上以外にも簡単に計算できる指標を合わせて紹介したい。

 損益分岐点売上とは、「どのくらい売上があれば会社が黒字化するのか」を計算する指標である。損益分岐点売上が計算できると、会社が黒字化するための最低売上金額を知ることができる。損益分岐点売上の計算式は、財務分析指標の教科書を見ると次のように書いてある。
損益分岐点売上=固定費÷{1−(変動費÷売上高)}

 この計算式は、割り算が2つあるのと、括弧の中に引き算があるので計算式の意味をイメージしづらく、筆者は使い勝手が良くないと思っている。正確に計算するにはこの計算式を使用する必要があるのだが、多くの中小企業ではここまで厳密に計算をする必要はなく、もっとシンプルな計算式で計算することをお勧めする。計算を正確に行うよりは、おおよその数字でも損益分岐点売上を使いこなして、経営に活かすほうが意味があると筆者は考える。そこで、筆者が普段使用している計算式は、次のようなものである。
損益分岐点売上=販売管理費÷粗利益率

 販売管理費は、損益計算書の「販売管理費合計」の数字を使う。粗利益率は、同じく損益計算書から「売上総利益÷売上高」で求めることができる。例えば、仕入原価・製造原価がないサービス業の場合は粗利益率は100%であるから、この会社の販売管理費が5,000万円とした場合、その損益分岐点売上は次の式で求められる。
損益分岐点売上=5,000万円(販売管理費)÷100%(粗利益率)=5,000万円

 粗利益率100%の会社は仕入原価・製造原価がないため、販売管理費と同額の5,000万円を超える売上を確保できれば、黒字化するということを意味している。これは分かりやすいと思う。

【仕入原価がある場合の損益分岐点売上を計算し、活用する方法!】に続く

この記事の専門家

佐藤 昭一

税理士。明治学院大学経済学部卒。
大学在学中からダブルスクールで税理士試験に挑戦し、卒業後は試験勉強と税理士事務所での仕事を両立させる。税理士事務所での仕事と並行してリサイクルショップを経営していたこともある。2つのことを同時並行させるために実践していたITを駆使した業務効率化、リサイクルショップ起業の経験を活かした経営支援を得意としている。最近は、体を動かすことに目覚めスポーツと仕事を同時並行させている。

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