これだけは知っておきたい!財務分析指標の使い方 2 ~経営への応用編~

執筆者:佐藤 昭一

更新日:2018年10月12日

損益分岐点売上を経営に活用する

(1の続き)
 本稿では、仕入原価のある卸売業のケースで、損益分岐点売上を計算してみる。
 例えば、1個60円の商品を仕入れ、それを1個100円で小売店へ販売する会社があるとする。この会社は商品が1個売れると40円の利益が出るので、粗利益率は「40円÷100円×100=40%」となる。この会社の販売管理費が5,000万円とした場合、損益分岐点売上は次の式で求められる。
損益分岐点売上=5,000万円(販売管理費)÷40%(粗利益率)=1億2,500万円

 卸売業は仕入原価があるため、前稿のサービス業の場合と販売管理費が同額であっても、1億2,500万円もの売上がないと黒字化できないのだ。

 次に、この損益分岐点売上を経営に応用する手法を紹介したい。
 例えば、「人を1人採用したときに、どのくらいの売上を確保する必要があるのか」ということを、損益分岐点売上の計算式から求めることが可能だ。
 上述の卸売業の会社が、年収600万円の人を採用予定であるとする。人を採用すると、その給料だけなく社会保険料、旅費や消耗品などの諸経費も増える。それらも含めた費用が年間800万円と仮定したとき、損益分岐点売上は次のように計算できる。
損益分岐点売上={5,000万円(販売管理費)+800万円(増加分)}÷40%=1億4,500万円

 この会社の損益分岐点売上は、人を採用しないときと比べて1億2,500万円から1億4,500万円に増えた。増加した費用800万円を回収する利益を上げるには、2,000万円の売上増が必要となるのである。

 さらに、同様の方法で試算できるのは人件費の場合だけでなく、例えば「引越しをして事務所家賃が増加する場合に、売上をどのくらい確保しなければならないのか」という場合も計算できる。
 このように、損益分岐点売上は、経営者の意思決定に役立てることができる財務分析指標である。

【経営の安全性を測る2つの指標とは?】に続く

この記事の専門家

佐藤 昭一

税理士。明治学院大学経済学部卒。
大学在学中からダブルスクールで税理士試験に挑戦し、卒業後は試験勉強と税理士事務所での仕事を両立させる。税理士事務所での仕事と並行してリサイクルショップを経営していたこともある。2つのことを同時並行させるために実践していたITを駆使した業務効率化、リサイクルショップ起業の経験を活かした経営支援を得意としている。最近は、体を動かすことに目覚めスポーツと仕事を同時並行させている。

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