売上を減らさず値上げするコツ 1 ~経済状況編~

執筆者:遠藤 康浩

更新日:2018年01月26日

デフレ時代のビジネスからの転換

 本稿では、BtoC(対個人顧客)ビジネスの中でも、特に小売店、飲食店における値上げのコツについて解説する。
 まずはその前提として、現在の経済状況についての解説をしていく。

 日本がデフレーション(以下「デフレ」という)期に入った時期については様々な説があるが、1990年代半ば頃、いわゆるバブル崩壊後からデフレのトレンドが続いている、と一般的に言われている。

 デフレとは、物価が下落する経済現象のことで、相対的に貨幣価値は上昇する。わかりやすい例で説明すると、今年100円で買えるものが来年になれば90円で買えるということである。
 ここだけをみると消費者にとってプラスに思えるかも知れないが、時間と共に物価が下がるのであれば消費者はさらに安く買えるかもしれないという心理が働き、消費を控えるようになる。また、企業としても100万円で仕入れたものが時間とともに価値が目減りしていくわけであるから、積極的な投資を控えるようになる。
 世の中全体がそのような基調になると、景気は冷え込み、以下のような負のスパイラル状態に陥ってしまう。
 「安くしないとものが売れない」→「企業が利益を出せなくなる」→「労働者の賃金が低下する」→「ますます消費が冷え込む」

 このようなデフレ期のビジネスにおいては、1にも2にも低価格路線が重要になってくる。それは実際にここ20年で、薄利多売で儲けるビジネスモデルを構築した企業が成長していることからもわかる。例えば、100円ショップは人件費の安い国で大量に生産した製品を販売することで成長を遂げ、コンビニや大手スーパーではプライベートブランドの商品を開発することで、広告宣伝費をかけずにその分、安い商品を多売して成長した。
 一方で、中小企業は大量に仕入れることもできず、メーカーにプライベートブランドを作ってもらう交渉力もない。多くの場合は利益を削って売上を確保するしかなく、この20年で淘汰された企業も数多くある。

 しかし、現在、日本経済はデフレからの脱却を目指しており、その兆候も見え始めている。これに合わせて商品価格の値上げをするタイミングが到来していると思われるが、多くの企業がそれをためらっているように思える。
 その大きな要因は、四半世紀近く続いたデフレ期のビジネスのやり方しか知らない経営者が多いからではないだろうか。もっと端的に言うと「値上げの仕方がわからない」経営者が多いのではないかと考えられる。

 経済状況が大きく変わるこの時期に、ぜひ値上げのコツを学んで欲しい。
 次回からは、具体的な値上げのコツを紹介したい。

売上を減らさず値上げするコツ 2に続く

この記事の専門家

遠藤 康浩

中小企業診断士。プログラマーとして通信系企業に勤務していた平成17年に中小企業診断士として登録。同年7月、経営コンサルタントとして独立開業する。
最も得意とする領域は、製造業のWebマーケティングであり、ホームページを活用して、いかに取引先を拡げるかというコンサル手法には定評があり、これまで50社を超える製造業のコンサルティングを実施した実績がある。また、このテーマで平成25年に中小企業経営診断シンポジウムにて中小企業診断協会会長賞を受賞した。

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