売上を減らさず値上げするコツ 2 ~ストーリー編~

執筆者:遠藤 康浩

更新日:2018年01月26日

付加価値としてのストーリー

(1の続き)
 具体的な値上げのコツを考えるにあたり、ヒトはモノを買うときに合理的な判断をする場合とそうではない場合がある、ということを理解していただきたい。

 組織がモノを買う場合は、合理的な判断に基づいて購買を決定することが多いとされている。一方で、個人がモノを買う場合には必ずしも合理的な判断で購入するとは限らない。消費者が価格を最重要視して購買を判断する(合理的な判断をする)場合は値上げをすれば、そのまま購買数が減少することになる。
 逆に言えば、価格だけではない判断材料を消費者に提供することで、そのリスクを回避することが可能になるのである。その判断材料の一つが「付加価値としてのストーリー」である。

 実演販売は典型的な例である。ただ陳列してあるだけだと高くて見向きもされないようなモノが、販売員が実演することで、聞いている人々が「買う必要性」つまりストーリーを理解する。そうすると多少高くても、買う理由ができた人はその商品を購入していくようになる。

 駅弁を例に挙げたい。冷静に考えれば、いくら美味しくても、普通のコンビニ弁当の2倍~3倍ものお金を払う合理性は見いだせないであろうが、旅情を演出するものであったり、その土地特有の名物が味わえる等の希少性があったりと、やはり価格をストーリーが下支えしている。

 このストーリーがきちんと顧客に伝わっているかどうかを、今一度チェックしていただきたい。POP広告1つをとっても、ただ「お得」「おいしい」というだけでは、ストーリーとしては弱く、購買を決定する理由にはならないであろう。
 例えば、「今年最後の○○町産のミカンです。今回を逃すと来年まで食べられません!」とするだけで、多少高くても買う理由はかなり強固なものになるのがおわかりいただけるだろう。

 最近では「Made in Japan」にこだわることで、顧客にストーリーを訴求する企業も増えている。多くのモノが海外製に置き換わっている中では、「Made in Japan」というストーリーでも購買を促すことができるのである。ぜひ、POP広告や販促物、接客時の説明などにストーリーが存在しているかどうか、という観点で見直しをしていただきたい。
 次回は、心理学的要素からの値上げのコツを紹介したい。

売上を減らさず値上げするコツ 3に続く

この記事の専門家

遠藤 康浩

中小企業診断士。プログラマーとして通信系企業に勤務していた平成17年に中小企業診断士として登録。同年7月、経営コンサルタントとして独立開業する。
最も得意とする領域は、製造業のWebマーケティングであり、ホームページを活用して、いかに取引先を拡げるかというコンサル手法には定評があり、これまで50社を超える製造業のコンサルティングを実施した実績がある。また、このテーマで平成25年に中小企業経営診断シンポジウムにて中小企業診断協会会長賞を受賞した。

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