最近の労災事故からみる企業責任とその対応策 1 ~企業責任編~

執筆者:鈴木 元

更新日:2018年03月23日

企業が負う3つの責任

 労働災害(以下「労災」という。)による事故と聞いて、どんなものを想像するだろうか。
 機械で製品を加工中に誤って指や腕を切断してしまったり、製品を車で搬送中に交通事故を起こしてしまったりなど。仕事中における怪我に対する企業責任については、従来、広く認識されているが、最近の労災事例の中で注目されているのが、「新型労災」、即ち怪我以外の労災事故に対する企業(使用者)責任である。

 まず、労災事故が起きた場合に企業が負う法的責任について確認したい。
 企業は労働者を使用することによって利益を得ている以上、使用している労働者の生命・身体の安全・衛生について、十分な配慮をしなければならないことは言うまでもない。
 労働者の権利を保障する法律が、「労働基準法」である。 この労働基準法から枝分かれして、労働者の生命・身体の安全・衛生に関して企業に義務を課す法律として、「労働安全衛生法」が制定されている。つまり、企業には、労働者の生命・身体の安全・衛生を確保すべき法的義務があるということである。

 具体的にいえば、労働者が労災事故によって傷病を負いまたは死亡した場合、企業は、民事責任、刑事責任または行政上の責任を負うことがある。
(1)企業が負う民事責任
 労災事故が起きた場合、企業は民事責任を負う。この民事責任の基本は、不法行為または債務不履行に基づく損害賠償責任であるが、その他にも、業務災害および通勤災害については、労働災害補償責任・上積み補償責任を負うことがある。

(2)企業が負う刑事責任
 労災事故が起きた場合、企業が刑事責任を負うことがある。典型的なものは、業務上過失致死傷罪であるが、その他にも、労働基準法や労働安全衛生法の処罰規定に該当する場合には刑事責任を負うことがある。

(3)企業が負う行政上の責任
 労災事故が起きた場合、上述の民事責任や刑事責任のほか、行政上の責任を負うことがある。行政上の責任を負うというのは、要するに行政指導や行政処分を受けるということであり、業種や労災の内容・程度にもよるが、営業停止処分などの行政処分を受けることがある。

 労災事故によって負う企業責任について確認した。
 次回は、仕事中における怪我ではなく、最近注目されている「新型労災」の事例を紹介する。

最近の労災事故からみる企業責任とその対応策 2に続く

この記事の専門家

鈴木 元

ファイナンシャルプランナー。
工場から排出される排水・排ガスをクリーンにするプラントの営業を経験。その後、損害保険会社に入社し、平成3年に損害保険代理店として独立。平成8年から生命保険を扱う。平成9年にファイナンシャルプランナーの資格を取り、FPとして活躍。
「安心を形にする」をスローガンに、顧客の様々な問題を解決するため、ワンストップサービスを目指し、現在11種の士業を集め「専門家集団アリさんNET」を主宰。主な著作に「FPの知恵袋」がある。

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