最近の労災事故からみる企業責任とその対応策 3 ~対応策編~

執筆者:鈴木 元

更新日:2018年03月23日

企業に求められる具体的な対策

(2の続き)
 2007年に制定された労働契約法では、第5条で労働者の安全への配慮義務が規定され、2014年には「過労死等防止対策推進法」が制定されるなど、企業の労働者に対する責任がさらに問われている時代である。

(参考)労働契約法第5条
 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 では、企業として「新型労災」に対して具体的にどのような対応を行ったらよいのだろうか。以下にそれをみていきたい。
(1)時間外労働の管理徹底
 労働者の心身の健康について安全配慮義務を果たしたかどうかについては、予見可能性と結果回避可能性があったかどうかによって判断される傾向にある。
・「予見可能性」とは、企業側が労働者の心身・身体・健康に損害が生じることを予測できた、または予想しうる状態にあったこと
・「結果回避可能性」とは、損害が生じることが予測できたとすれば、損害の発生を回避する手段があったこと

 この安全配慮義務を果たしたかどうか、の具体的な判断材料には労働時間が挙げられる。そのため、労働者の時間外労働の管理を徹底したい。

(2)体制整備
 精神障害の事前対策として、厚生労働省では「4つのケア」を提唱している。
・セルフケア:労働者自らが行うストレスへの気づきと対応
・ラインによるケア:管理監督者が行う職場環境などの改善と相談への対応
・事業場内産業保健スタッフ等によるケア:社内の産業医などによる専門的ケア
・事業場外資源によるケア:社外の専門機関による専門的ケア

 詳細については、厚生労働省「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」を参照されたい。
 企業の規模によっては、ここまで整備することは難しいかもしれない。その場合は、以下のポータルサイトを活用し、労働者のストレスチェックから始めてみてはいかがだろうか。

 厚生労働省メンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳

(3)保険加入の検討
 実際に企業責任が問われ、損害賠償が発生してしまった時のために、保険の加入も検討しておきたい。
・使用者賠償責任補償特約
 企業責任が認定された場合の備えとして、損害保険に「使用者賠償責任補償特約」がある。主に労災の上乗せとして扱われている怪我の保険に付帯できるもので、もしものとき、労働者の補償として企業の損害賠償を補償してくれる。
 内容は、日本国内で補償対象者が業務従事中の偶然な事故により怪我などを被ったとき、企業やその役員が法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に対して、保険金を支払う特約。

・脳・心疾患等補償特約
 使用者賠償責任補償特約の補償範囲が、怪我だけでなく脳・心疾患等まで拡大される特約である。
 内容は、補償対象者が身体の障害を被った原因が労災保険法などで給付が決定された「脳血管疾患」「虚血性心疾患等」「精神障害」に起因する損害賠償を補償する特約。

 以上、3回にわたって最近の労災事故と企業責任を解説した。
 企業に問われる責任が増大し、具体的な対応がますます求められている。

この記事の専門家

鈴木 元

ファイナンシャルプランナー。
工場から排出される排水・排ガスをクリーンにするプラントの営業を経験。その後、損害保険会社に入社し、平成3年に損害保険代理店として独立。平成8年から生命保険を扱う。平成9年にファイナンシャルプランナーの資格を取り、FPとして活躍。
「安心を形にする」をスローガンに、顧客の様々な問題を解決するため、ワンストップサービスを目指し、現在11種の士業を集め「専門家集団アリさんNET」を主宰。主な著作に「FPの知恵袋」がある。

ミラサポおすすめコンテンツ

サービスを利用する
補助金など支援情報
無料派遣専門家
地域プラットフォーム
専門家派遣・電子申請のご利用は、こちらより企業IDをご登録下さい
ビジネスを創造する
ビジネス創造コミュニティ
業務「アプリ」マーケット
ミラサポビジネスプロジェクト/アワード
補助金・助成金ヘッドライン
ビジネス創造ヘッドライン
ビジログ
バーチャルシリコンバレー
ページトップに戻る