東日本大震災から7年、中小企業の産学連携を考える 2 ~変革の必要性編~

執筆者:鈴木 康夫

更新日:2018年03月16日

「学の知恵」の活用が企業の発展に

(1の続き)
 前回は、被災した地域の企業による産学連携を活用した事例を紹介した。今回は、被災地域以外の企業も含めた産学連携の可能性について、目を向けてみたい。

 被災地域ではない過去の例であるが、1965年から1985年のわずか20年の間に、新潟市内食品加工業の出荷額は、他の産業に比べて飛躍的に増加し、雇用は2倍強にまで拡大した(全産業平均は1.1倍)。新潟市内の食品産業の強さは、「オープン経営」のマインドと公的な試験研究機関との緊密な連携にあるとされている(千田俊樹編著『住民幸福度に基づく都市の実力評価 : GDP志向型モデルから市民の等身大ハッピネス(NPH)へ』、時事通信出版局、2012)。

 産業界が主役・リーダー役を担い、事業構想起点型で、どこを独自技術に仕立てるか、どこを標準化するか、どこの技術をどのようなリソースで賄うかについて共有し合い、供給サイドからの商品開発と需要サイドからの販路方法開発のダブル・イノベーション力で産業化を加速させた結果である。この新潟市の事例のような結果を得るには、産学共創力(学術機関や公設試)による研究開発と産業界の熱い想い、こだわりと妥協とのバランス力、モノづくり力、製品の社会への影響を予測する能力、そして、売り方、決断力が極めて重要なのである。

 以上のように、被災した地域であるかないかに関わらず、企業がイノベーションを起こしていくためには産学連携は重要な鍵になっている。また、決して「被災事業者で大変だから」という理由で学術機関や公設試が通常と違う特別な対応をしてくれるというわけでもない。

 企業経営においては、あらゆる分野で「学の知恵」を大所高所に立って総合的に活用し、最適化していくことが重要なのである。

 筆者がプログラムオフィサーを務めたJST(科学技術振興機構)復興促進センターの活動で痛感したことは、複雑多岐・相互依存・不安定なこの時代だからこそ、多様な専門知の結集による事業化・実用化に向けた課題解決の取り組みの必要性である。

 多様な「学の知恵」を大いに活用し、課題解決や新販路開拓につなげていただきたい。その挑戦の姿勢こそ、企業が発展するために必要なものなのである。

この記事の専門家

東北福祉大学総合マネジメント学部・教授

鈴木 康夫

東北大大学院工学研究科修了。宮城県に入庁し、宮城県産業技術総合センター所長、宮城大学教授を経て、現在、東北福祉大学教授。東日本大震災後、東経連ビジネスセンターのコーディネータリーダー、JST復興促進センター仙台事務所プログラムオフィサー、産学共創プログラムプログラムオフィサーを務めた。

得意分野

海・山・里に係る産業おこし

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