中小企業のメンタルヘルス対策 1 ~概論編~

執筆者:長谷川 惠美子

更新日:2018年03月22日

中小企業がメンタルヘルス対策に取り組む意義

 「労働安全衛生法」が改正され、労働者50人以上の事業場において「ストレスチェック制度」が2015年12月から義務づけられた。この制度は、労働者のストレスの状況を検査によって測り、本人にそれを伝えることで自らのストレス状況への気づきを促し、さらに個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることで、職場環境の改善と労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを主な目的とするものである。

 実際、2017年7月に初めて公表された「ストレスチェック制度の実施状況」(厚生労働省)によれば、ストレスチェック制度を実施した事業場のうち、50~99人規模の事業場では78.9%、1000人以上の事業場では99.5%がストレスチェックを実施した。ただ、ストレスチェックを受けた労働者のうち、医師による面接指導を受けた者は0.6%であり、面接指導の申出者数が少ないという課題も浮き彫りになった。その背景には、面接指導の対象者ということが、人事にわかり、今後の社内の立場がまずくなるのではないか、または、就業時間中に面談するとなると、周りの従業員に自分が面接指導の対象者だとわかってしまうのではないかという不安がある。そのため、今後もストレスチェック制度を継続するためには、面接指導時のプライバシーが十分に配慮されるということを周知する必要があるといえる。

 さて、労働者50人以上の事業場には、ストレスチェックの実施が義務づけられているが、50人に満たない事業場にはその義務がない。ただし、ストレスチェック制度の目的が、(1)セルフケアの充実、(2)高ストレス者への対応、(3)職場環境改善、であり、ストレスチェック制度を従業員のメンタルヘルス対策の総合的な取り組みの端緒と位置づけることにより、従業員のストレス状況や職場環境の改善はもとより、生産性の向上にもつながることなのだから、50人未満の事業場も、経営の一環として活用することが望ましい。

 ただ、従業員にストレスチェックを実施すれば、それなりのコストがかかるのも事実である。また、世の中の風潮として、賃金の上昇が当然のように語られている中、中小企業としてもその対応に苦慮せざるを得ず、同時に、賃金上昇に対応しなければ新しい人材の確保にも大きく響いてしまうというジレンマにもなっている。そうした財政的に厳しい状況の中で、義務のないストレスチェックにいかにして取り組むか。次回では、その一助となる公的支援について紹介しよう。

中小企業のメンタルヘルス対策 2に続く

この記事の専門家

長谷川 惠美子

愛知教育大学社会科卒業。会計事務所に25年間勤務する。給与処理、法人決算、個人の確定申告などに従事。その間、年金アドバイザー3級、ファイナンシャルプランニング技能士2級、メンタルヘルスマネジメントⅡ種を取得。社会保険労務士試験に合格後、アミSRオフィスを開業。人の心に寄り添っていける社会保険労務士を目指している。

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