定款の事業目的を定めるためには 1 ~検討の必要性編~

執筆者:町田 哲志

更新日:2018年03月29日

目的を定めるための4つの基準

 会社を設立する際には、根本的な規則である定款を作成しなければならない。その記載事項として目的(事業目的)があり、これを記載していないと定款そのものが無効になってしまう。会社法と民法の規定により、定款で定められた目的の範囲内でのみ事業を行うことができる。これを反対側から見ると「目的にない事業は行うことができない」ことになる。コンプライアンスの観点から、定款に正しく目的を定めて、その範囲内で事業を行うことが重要ではないかと考える。

 実際に定款に目的を定めるにあたって、これをどのように書けばいいのか頭を悩ませる方が多い。これを考える基準として、具体性、明確性、適法性、営利性の4つの基準があるので、今回と次回の2回にわたって説明したい。

(1)具体性
 2006年に会社法が施行されるまでは、目的の表現については細かく登記官に審査されていたが、施行後は審査の対象ではなくなったので会社の判断で定めることとなった。
 たとえば、「商業」や「適法な事業」といった大まかな表現でも定款に定めることができ、登記が可能である。この目的であれば、後述する「適法性」に触れない限りどのような営業行為も含まれる。
 商業を目的として設立された会社が飲食店の経営をしていたが、新事業として不動産業を立ち上げたとしても、定款に目的を追加する必要はない。
 しかし、このような広い範囲の目的を持った会社が、実際に何を事業としているのか定款や登記事項証明書を見ても判別がつかない、というデメリットは避けられない。これから取引を始めようとする相手方が、あなたの会社の登記事項証明書を取り寄せたところ、目的の欄に「商業」とだけ書いてあったら不安になるのではないだろうか。

 目的の適切な開示は、信頼を得るために大切である。また、会社の業務執行を行う取締役は、法令並びに定款及びに株主総会の決議を遵守してその職務を遂行しなければならないため、取締役の権限の範囲を定める意味でも目的を具体的に定めることが重要だが、「商業」などと定めた場合は取締役にフリーハンドを与えることになってしまう恐れもある。

 次回は、明確性、適法性、営利性の基準について説明したい。

定款の事業目的を定めるためには 2に続く

この記事の専門家

町田 哲志

司法書士。青山学院大学法学部卒業。
大手電機メーカーで勤務し、平成12年に司法書士試験合格、平成15年に千葉県松戸市で事務所を開設。
特定非営利法人相続アドバイザー協議会会員。不動産登記、会社・法人登記を中心に業務を手がけている。

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