定款の事業目的を定めるためには 4 ~具体的な手順編~

執筆者:町田 哲志

更新日:2018年03月29日

目的の具体的な定め方

(3の続き)
 目的の具体的な定め方を、以下に手順を追って説明したい。
(1)箇条書きにする
 普段、自社の事業を紹介する時には気にも留めていないのに、改めて簡潔に説明しようとすると筆が止まってしまう、という話をよく耳にする。そういう時は、箇条書きで自社の業務を書き出してみることをお勧めしている。
 社内や業界内では当たり前過ぎて改めて説明する機会がない言葉や、業界用語、アルファベットでの略語などを、ひとつひとつ「翻訳」する作業が欠かせない。1人よがりにならないように、わかりやすい目的は会社のためになると信じて取り組んでいる。

(自社の事業を箇条書きとした例)
 ア 印刷業
 イ 出版業
 ウ イベント業
 エ インターネット業

(2)事業の内容を検討してみる
 事業の内容をどう表現するか、どこまで書くのか、例示したほうがよいか、隣接した業種も一緒に記載するか、項目を分けるかなどを考えながら推敲する。
 前述の例を用いて、以下に検討してみたい。

 ア 印刷業
 そのままでも登記は可能だが、本を印刷するのかパンフレットか業務用の特殊なものなのか、それらをどこまで目的に書くことにするか、それによってどのように外部からみられるかを意識してみる。

 イ 出版業
 これもこのままでも登記は可能。企画、編集や広告宣伝はするのか、デザインはするのか、書籍か雑誌か、電子出版なのか。こういったことを詰めていって目的を作成していく。

 ウ イベント業
 イベントの企画、立案、運営と言い替えた方が具体的ではないか、他社や自治体が行うイベントの請負が主なのか、自社がイベントを行うのか、などといった観点から目的を考える。

 エ インターネット業
 インターネットのシステム、接続のサービスといったインフラ事業なのか、ホームページの作成、運営の請負なのか、通信販売などインターネットを利用したサービスなのかなど、事業を具体的に表現できるようにしていく。

 上記の検討結果を踏まえた手直し例が、以下の通りである。
 ア 印刷業及び製本業
 イ 書籍、雑誌などの出版業
 ウ サイン会、企業主催パーティ等のイベントの企画、立案、運営の請負
 エ インターネットを利用したコンテンツ制作、情報提供サービス
 オ 前各号に付帯する一切の事業

 なお、最後に「オ 前各号に付帯する一切の事業」の文言を書いておけば、これまでに書いた目的に付帯する事業がすべてカバーされるのでお勧めする。「付帯」の範囲について明確な基準はなく、個別の判断になると筆者は考えている。関連した事業については原則としてカバーされるが、ただし許認可や届出が必要な事業についてまではカバーされず、別項目を立てる必要がある、と理解すると良いのではないだろうか。

 この作業を通じて、自社の事業、やりたいことの本質を見つめ直すことになり、事業計画書の作成などにも応用できるので、ぜひ試していただきたいと思う。
 なお、これまでに説明してきた方法ではどうしても目的として書ききれない「思い」や「ミッション」、例えば「子供たちの笑顔をいっぱいにする」「高齢者がいきいきと活躍できる社会を創る」といった事柄は、登記する目的には入れず、会社のホームページや会社案内パンフレットなどに書いておくことをお勧めしている。

 会社を立ち上げるときは、夢や希望が膨らんで行くと同時に、何から手を付けていいのかわからない、と言う方が散見される。そういう時は、「目的の箇条書き」から始めることにより、この会社は「この会社は何を営業していくのか」ということを視覚化し、ひいては会社の存在意義を明確に意識することが、起業の第一歩になると信じている。

この記事の専門家

町田 哲志

司法書士。青山学院大学法学部卒業。
大手電機メーカーで勤務し、平成12年に司法書士試験合格、平成15年に千葉県松戸市で事務所を開設。
特定非営利法人相続アドバイザー協議会会員。不動産登記、会社・法人登記を中心に業務を手がけている。

ミラサポおすすめコンテンツ

サービスを利用する
補助金など支援情報
無料派遣専門家
地域プラットフォーム
専門家派遣・電子申請のご利用は、こちらより企業IDをご登録下さい
ビジネスを創造する
ビジネス創造コミュニティ
業務「アプリ」マーケット
ミラサポビジネスプロジェクト/アワード
補助金・助成金ヘッドライン
ビジネス創造ヘッドライン
ビジログ
バーチャルシリコンバレー
ページトップに戻る