読者目線の内容を、適切な媒体で
(2の続き)
プレスリリースは、一般的にA4判1、2枚程度に発信したい情報をまとめて記載する。例えば商品情報の場合、商品の概要に加えてその特徴や開発背景、販売先、画像などを入れ各媒体社などへ送付する手法をとる。
中小企業がプレスリリースをする場合に気をつけるべきことは、以下の2点である。
(1)自社目線でなく、読者目線でメリットがある内容となっているか
メディアには、毎日多くのプレスリリースが届く。その中で優先的に取り上げられるためには、「新規性」「話題性」「社会性」のあるニュースであることが重要である。例えば、「業界で初めての新商品開発や、これまでにない独自のサービスを展開する」「季節限定イベントや希少性のある取組を行う」「地域に根差した活動や、社会に貢献するプロジェクトを実施する」などの情報が取り上げられやすいだろう。世の中から客観的に見て取り上げる価値があるか、が重要な視点である。
(2)自社や情報特性にあった媒体の選択ができているか
例えば、地方の小売店が情報発信を行う場合、東京よりも地元の新聞社などに発信をしたほうが取り上げられやすい。また、業界性の強い情報の場合は業界紙や業界雑誌を選択したほうがよい。自社が取り上げてほしい媒体ではなく、情報にあった媒体を選択することが重要なのである。
最後に、プレスリリースを効果的に活用して集客に成功したレストランB社の事例を紹介したい。
B社は、レストランの敷地内に国内外250種ものバラの花を栽培し、シーズンには色とりどりのバラが見られるのが特徴だ。そこで、バラの季節における集客アップを狙い「五感で楽しむバラのフレンチコース」を考案。バラのビネガーを使用したソースや、バラの花びらをかたどったデザートなど、バラづくしのメニューを用意し、プレスリリースを実施した。
地方紙を中心としたメディア25社に送付すると、すぐに新聞3紙から取材の問い合わせが入り、いずれもカラー写真を入れて大きく取り上げられた。その結果、B社バラ園の見学者は前年の5%増、レストランの売上は22%も増加した。さらに、それまで少なかった市外からの問い合わせも入るようになり、新規客の獲得にも効果があった。この間にかかった宣伝費は、プレスリリースの郵送料だけである。
この事例のように価値ある情報を作って適切に発信すれば、中小企業でも新聞や雑誌に取り上げられ、自社の認知度を向上させる機会はある。ぜひ積極的にプレスリリースを活用して広報活動を行ってほしい。
この記事の専門家

中小企業診断士
二宮 佳代
得意分野
販促計画策定
販促物作成支援
企業広報
商品開発・ブランディング
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