介護をしながら働いてもらうために必要なこと 1 ~介護の現状編~

執筆者:堀野 美奈子

更新日:2018年06月08日

介護と仕事を「両立」する

 総務省統計局のデータによると、我が国の総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は2017年9月15日時点の推計で27.7%と過去最高であった。これは、世界で最も高い割合である。
 介護を理由として離職する人は毎年10万人以上いると言われ、労働人口不足とともに社会問題化されて久しい。

 介護に専念することを理由とした退職は、事業主にとって貴重な労働力が失われることを意味すると同時に、従業員本人も失うものが多い。平成27年度「生命保険に関する全国実態調査」(公益財団法人生命保険文化センター実施)によると、家庭における介護期間は平均4年11カ月であるが、全体の15.9%の介護期間が10年以上にわたるという。
 長期にわたる介護は、体力的・精神的負担もさることながら、経済的負担も介護者に重くのしかかる。育児であれば、我が子の成長の喜びとともにその終わりを待つことができるが、介護の場合はそうではない。介護に専念した場合、少数の人間関係の中での閉塞感を感じたり、自身のワークキャリアが絶たれたという思いに駆られたりして、「介護うつ」に陥るケースや、介護を終えた後の再就職が困難となるケースも散見される。

 このような事情を勘案すると、介護は「専念」するものではなく、できる限り仕事との「両立」を目指すべきものだと筆者は考える。この点、育児の場合は、「専念」すべきかどうかといった議論は本人や周囲の育児観からなされる傾向があり、「両立」できるか否かも、職場のハラスメントの有無、本人や上司のキャリア観、経済事情、託児所などの保育施設での受け入れ状況などに依存する部分が大きいため、事情が若干異なる。

 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」という)で最大93日間と定められている介護休業は、緊急対応のための介護を担うと同時に、預ける施設を探すなど、仕事と介護の両立のための準備を行うための期間であり、介護の専念を想定したものではない。そのため、従業員に辞めずに働いてもらうためには、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとしての介護保険制度の利用に加え、企業の側も両立できる仕組みを作り、従業員を支える必要がある。

 介護保険制度では、40歳になると第2号被保険者として保険に加入し、65歳になると第1号被保険者となる。第2号被保険者は末期がんや関節リウマチなどの老化による疾病が原因で要支援・要介護状態になったときに、第1号被保険者は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに、デイサービスや訪問看護などの介護保険サービスを受けることができる。
 手続きとしては、介護を必要としている本人またはその家族が、市町村ごとに設置された地域包括支援センターまたは市区町村の窓口に相談し、「要支援認定」「要介護認定」を受ける。

【介護と仕事の両立のため、企業がするべき対応は?】に続く

この記事の専門家

キャリアコンサルタント
中小企業診断士

堀野 美奈子

大学院博士課程で行動分析学、比較認知心理学を専攻、キャリアコンサルタント、中小企業診断士。
大手通信系IT企業の人事部でダイバーシティ推進、キャリア開発喉の人材育成施策立案や社員のキャリアコンサルティングの傍ら、RPAやAIをはじめとする先端技術を活用する新規事業開拓に取り組む。

得意分野

キャリア開発

働き方改革、ダイバーシティ推進

営業プロセス改善、販路開拓

新規事業立ち上げ支援

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