全社一丸で取り組むことが品質向上のカギ 3 ~取り組み事例編~

執筆者:小林 健了

更新日:2018年06月29日

経営者の主導による品質向上の事例

(2の続き)
 前稿では、どのようにすれば顧客満足を得られるかについて解説した。本稿では、品質向上および顧客満足に向けた、通信装置向けの電気部品を製造するA社の取り組み事例を以下に解説する。A社は「顧客満足を最大化する製品提供」という品質方針を掲げ、年に2回、経営者自らが従業員に対する品質教育を主催している。

(1)品質向上に関するA社の取組
 A社では、ある新製品の販売開始から3カ月間で、「電源部品が故障しやすくなっているようだ」という、顧客からの問合せや苦情が増えていた。顧客にとって「電源部品が故障しない」ことは「当たり前品質」だ。故障することは顧客の不満足につながる。

 A社が故障した電源部品を引き取って確認すると、電源部品の特定箇所で部品の破損が見られた。さらによく確認すると、A社の輸送時点で特定の箇所がネジ留めの緩みにより破損することが多いことが分かった。A社では、これまでネジ留めの緩みによる品質問題が発生しておらず、ネジ留め手順の明確化が重要視されていなかった。そこでA社の経営者は、ネジ留め手順の明確化と作業者への周知を実施するとともに、全製造プロセスの点検並びに各手順の明確化およびその徹底などを、是正するまで立ち返って実施した。これにより、A社製品の品質は向上した。

(2)顧客満足の最大化に関するA社の取組
 A社では、経営者の企画により、部門横断型の小集団(グループ)活動を実施している。あるグループが顧客からの問い合わせ傾向を調査すると、「通信機器のIoT化への対応」という需要が多いことが分かった。そこでこのグループでは、IoT対応のために小型化や長時間化したバッテリーの提供が必要だとA社の経営者に提案した。経営者はこの提案を実行し、他社に先駆けてIoT対応の電源部品を発売することで、顧客からの安定した受注に至った。顧客の声から新たな製品・サービスの魅力を見出す活動や、魅力的な発想を創出するために経営者が関与する小集団活動は、製造業のみならずサービス業にも適用できる考え方である。

 これまで述べたように、経営者が「品質方針の策定」段階から関与して改善活動を機能させることが重要であり、「当たり前」に満足されるべき品質を確保しつつ、顧客にとって「魅力的」に感じられる品質にまで顧客満足を得ていくことが、企業経営に必要な要素であると言えるだろう。

この記事の専門家

中小企業診断士、
技術士(電気電子部門)、
情報処理技術者

小林 健了

製造業にて製品開発、プロジェクトマネジメントに従事。2015年に中小企業診断士、技術士(電気電子部門)として登録。ものづくり、IT、品質の知見を活かしながら、工事業、製造業、IT活用などの支援も実施。

得意分野

IT導入

業務改善

品質管理

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