サービス業の生産性を「カイゼン」するテクニック5選 1 ~負荷の削減編~

執筆者:狩野 詔子

更新日:2018年08月06日

作業を洗い出し、ムダを見つける

 サービス業の経営者の皆さまは、「トヨタ式で知られる『カイゼン』活動など製造業だけのもので、自社のビジネスには活かしようがない」と、思い込んではいないだろうか。
 一見、このようなキーワードは古めかしく聞こえるかもしれない。しかし、人手不足に苦しむ、飲食業や宿泊業などの労働集約型のビジネスにこそ、「カイゼン」による生産性向上の効果が期待できる。今回のコラムでは、明日から取り組める計5つの業務改善のテクニックを紹介する。そのうち、本稿では1つ目のテクニックを紹介する。

テクニック1:作業の分析とムダ取り
 始めに「カイゼン」の取組としてお勧めしたいのは、作業の分析とムダ取りである。自社の業務について、作業レベルに分解して観察し、各作業の中に「負荷」や「ムダ」がないか、洗い出しを行う。
 例えば飲食店の場合、調理業務の中に「棚の上から重い皿を取り出す」動きや、ホールスタッフの会計業務の中に「2階の客席から1階のレジまで伝票を取りに戻る」動きが見つかれば、これらの負荷や移動量を減らせないか、検討することが可能となる。

 具体例として、温泉旅館「グランディア芳泉」(福井県あわら市)の事例を紹介する。彼らが取り組んだのは、オペレーションの見直しによるムダ取りである。
 その取組の1つが、夕食提供時間の2部制の廃止だ。従来は、宿泊客の夕食開始時刻を17時半と19時半の2グループに振り分けていたが、宿泊客が自由な時間に食事に来ていただける方式へ変更した。
 これにより、「座席の配置表作成」や「テーブルセッティング」など、宿泊客の割り振りに要していた作業時間が不要となり、1日当たり2時間相当の業務時間削減に成功した。また、副次的な効果として、宿泊客が席に着いてからテーブルセッティングをする方式に変更したことで、接客の時間を増やすことができ、きめ細かなサービスの提供が可能となった。

 さらに、同旅館では「予約確認のための電話の廃止」「朝食用トレーの廃止と皿の種類の絞り込み」など、ムダ取りを始めとするさまざまな改善活動を推進し、人手不足の解消に成功。その効果として、完全週休二日制を導入し、それまでわずか72日であった従業員の年間休日を105日へと増やすことが可能となり、経常利益率の10%アップも実現した。
 この事例のように、業務の中に含まれる「負荷」や「ムダ」を洗い出すことが「カイゼン」の第一歩となる。

【さらなる生産性アップのための「標準化」のテクニックとは?】に続く

この記事の専門家

中小企業診断士、かのさん中小企業診断士事務所

狩野 詔子

サービス業・観光業における生産性向上を得意とするコンサルタント。
ヤマハ株式会社、デロイトトーマツコンサルティング合同会社を経て、テーマパーク運営企業にて飲食、バックオフィス、倉庫の業務効率化を手掛ける。

得意分野

生産性向上・業務効率化

働き方改革

サービス業・飲食業・宿泊業

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