巻頭特集|他社の成功に学ぶ! 事例でみる~公的機関の支援施策~ Vol.2|公的機関が発行している様々な「事例集」は、企業を成功に導く宝の山です。成長する企業の取組を参考にすることで、自社の経営に活かす術がきっと見つかるはず。経営を向上させるため先進的な取組を行う中小企業や、活用した支援施策などを紹介します。

Vol.2 外国出願補助金事例集2018(特許庁)

外国出願補助金事例集2018(特許庁)

中小企業等の海外進出支援にあたって、特許、実用新案、意匠、商標の外国出願に要する費用を補助する「外国出願補助金」(特許庁)。同補助金を活用し、海外展開に取り組んだ中小企業等の声を集めた活用事例集です。

今回は、同補助金を活用して商品などの権利化を進め、海外展開の成果が得られた事例の中から、2事例をピックアップして紹介します。
※本記事は、2018年9月25日時点の情報をもとに執筆・掲載しています。

事例紹介 1

知財を武器にブランドを保護、模倣品をけん制 【ジャパンポーレックス株式会社】

「PORLEX」ブランドのコーヒーミル
「PORLEX」ブランドのコーヒーミル

鹿児島県霧島市に本社をおくジャパンポーレックス株式会社は、独自のセラミック成形技術を活かした、コーヒー豆などのミル(粉砕器)の製造や販売を行っています。同社は豪州や中国、欧州に顧客が多く、売上も海外が4割を占めています。

補助金を活用し、ブランド名の文字商標とロゴマーク商標を二十数カ国に出願した他、独自技術を活用したミルの構造特許を主要国へ出願。模倣品のけん制に役立てています。

独自技術を活かしたミルを製造

ジャパンポーレックス株式会社(鹿児島県霧島市)は1978年に設立し、独自のセラミック成形技術を活かしたキッチン用品の開発、製造、販売を行っています。2011年に社長に就任した上岡佳世子さんは、就任以来、積極的な海外展開に取り組んでいます。

同社の主要製品は、茶葉やコーヒー豆を挽く手動式のミル(粉砕器)です。金属や樹脂で作られる一般的なミルの刃と違い、同社独自の技術を用いて開発したセラミック製の刃は、金属臭がなく風味を損なわずに粉砕することができるといいます。

さらに同社は、操作ハンドルのシャフト部分を五角形から長方形に変更するとともに、回す方向とは逆方向に独自の角度とひねりを加えたミルを開発。これにより、特に北欧市場でしばしば見られた、ハンドルの空回りや抜け落ちという従来の課題を解決した、ミルの構造の特許を取得しています。

かつては産業財産権の取得を一切行っていなかった同社ですが、この取組を始めたのは、中国の代理店からセラミック製の刃を使用した模倣品が出回っていると情報を受けたことがきっかけでした。同社は豪州や中国、欧州に顧客が多く、売上も海外が4割を占めています。

公益財団法人かごしま産業支援センターの経営相談窓口に相談したところ、知財の重要性や国内外での権利取得についての知識が得られ、同センターが地域実施機関を務める「外国出願補助金」も活用することができました。

同補助金を活用し、2014年度には「PORLEX」の文字商標を、翌年にはロゴマーク商標を二十数カ国に出願しました。また、商標のみでは対策が十分でないと判断し、2016年度には上述の特許を主要国である豪州、米国、中国および韓国へ出願しました。

上岡さんによると、商品パッケージに「International patent pending(国際特許出願中)」と記載できるようになったことで、代理店やユーザーの品質への信頼度が増したといいます。今後も同社では知財を活用し、「made in Kagoshima」製品の海外展開を拡大していく意向です。

上岡佳世子社長(左)と従業員の皆さん
上岡佳世子社長(左)と従業員の皆さん

事例紹介 2

製造業向け生産シミュレータをクラウドで海外展開 【株式会社レクサー・リサーチ】

シミュレータによって最適化された作業計画
シミュレータによって最適化された作業計画

鳥取県鳥取市に本社をおく株式会社レクサー・リサーチは、大手製造業などを取引先に持ち、ソフトウエア開発を行う企業です。同社の生産シミュレータ「GD.findi(ジー・ディ・フィンディ)」は、パソコン上で手軽に最適な工程のシミュレーションなどを行うことができるソフトウエアです。

クラウドを介して世界中で利用することができるため、補助金を活用し、同商品のデータ構造についての特許を主要国に出願しました。特許が信頼向上にも役立っているといいます。

ソフトウエアの権利を戦略的に知財でカバー

株式会社レクサー・リサーチ(鳥取県鳥取市)は、1993年に設立。バーチャル技術やシミュレーション技術を有し、ソフトウエア開発を行う企業です。

同社の製品の1つである生産シミュレータ「GD.findi(ジー・ディ・フィンディ)」は、仮想の生産ラインを設定し、生産性や製造コストのシミュレーションを行うことができるソフトです。このソフトの特徴は、設定にプログラミング知識が不要で、マウス操作で感覚的に設定できることです。 そのため、業務の内容や状況を把握している現場の担当者が自ら設定することが可能で、最適な工程の検討が容易に行えることから、国内の中堅製造業を中心に採用されています。

同社社長の中村昌弘さんが、もともと生産技術の研究者、エンジニアであったことから、創業当時から知財に対する意識が強く、特許と社名・商品名の商標の出願を積極的に行っています。

ソフトウエアの分野では、製品の機能ごとに特許を取得するよりも、概念モデルやフレームワークについて特許を取得する方が有効であると同社は考えており、GD.findiに関する特許も、個別の機能に関するものではなくデータ構造について取得しました。

同社の製品は、クラウド環境に対応していることがもう1つの強みです。世界中で利用することができるため、どのエリアを知財でカバーしていくかも、戦略上の課題となっています。

上述のGD.findiに関する特許は、2015年度に公益財団法人鳥取県産業振興機構を窓口として「外国出願補助金」を活用し、米国、欧州、中国およびタイに出願しました。

「外国出願はすぐ効果が出るわけではなく、成果が不確実なところがあるものの、補助金を用いることで積極的な投資が行えました」(中村さん)

同社では、特許取得によって業績にも好影響が得られているとともに、技術力を証明し取引を行う上での信頼感を得るためにも不可欠だといいます。

ドイツでの営業活動も進めている同社の、活発な海外展開が今後も期待されます。

中村昌弘社長
中村昌弘社長

活用した支援施策

外国出願補助金(中小企業等外国出願支援事業)

同事業の支援の流れ
同事業の支援の流れ

特許庁では、外国へ特許、実用新案、意匠または商標の出願を予定している中小企業等に対し、都道府県中小企業支援センター等および日本貿易振興機構(ジェトロ)を通じて、外国出願に要する費用(外国庁費用・国内外代理人費用・翻訳費)の2分の1を補助します。

補助金虎の巻Vol.14「外国出願補助金編」のページはこちら

施策担当者のひとこと

特許庁 総務部普及支援課

「外国出願補助金」は、例年4月下旬から、まず地域実施機関である各都道府県中小企業支援センター等で公募がスタートし、全国実施機関である日本貿易振興機構(ジェトロ)で順次、公募が開始されます。

現在、地域実施機関の中では2次公募や3公募を行っているセンター等もあります。詳しくは、次の特許庁のホームページをご覧いただき、企業所在地のある地域実施機関のセンター等にお問い合わせください。

特許庁「中小企業等外国出願支援事業」のページはこちら

本補助金のフォローアップ調査によれば、「自社商品の宣伝や営業活動でPRする材料となった」「自社製品の信頼性向上になった」という声を多く頂いています。

海外展開を検討されている企業の皆さまには、知財も含めた事業計画をしっかりと練られた上で、本補助金の活用をお勧めします。

今回紹介した事例集はこちら

外国出願補助金事例集2018

外国出願補助金事例集2018(特許庁)

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