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アワード受賞企業に学ぼう!リーディング企業ピックアップ Vol.10

第13回産学官連携功労者表彰 経済産業大臣賞 受賞

株式会社三次元メディア

技術革新や経営革新を行い、社会に影響を与えている中小企業として賞を受賞している優良企業の中から、注目企業をピックアップ。 今回は、「第13回産学官連携功労者表彰 経済産業大臣賞」を受賞した「株式会社三次元メディア」をご紹介します。独自のアルゴリズムを駆使してロボットの目となる3次元ビジョンセンサを産学官連携で開発。新市場の開拓に取り組む同社の姿を紹介します。

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株式会社三次元メディア

  • ■所在地:滋賀県草津市野路1-15-5 フェリエ南草津4F
  • ■資本金:9億7820万円
  • ■従業員数:50人

受賞ヒストリー

  • 第5回ロボット大賞・最優秀中小ベンチャー企業賞
  • 第13回産学官連携功労者表彰 経済産業大臣賞
  • Japan Venture Awards 2017 中小機構理事長賞

企業概要

株式会社三次元メディアは、3次元ロボットビジョンセンサを開発・販売する企業です。2000年に立命館大学発ベンチャーの第1号として創業しました。独自のアルゴリズムに基づく3次元ロボットビジョンセンサ「TVS」シリーズを主体に、自動車や電機など産業界の工場および物流倉庫のロボット化に貢献しています。

産業用ロボットに目と脳を持たせる3次元ビジョンセンサ

三次元メディアは、産業用ロボットの3次元ビジョンセンサを開発・販売するファブレス(工場を持たない)メーカーです。

ビジョンセンサとは、コンピュータを用いて3次元立体視ができる視覚用製品です。同社は「産業用ロボットに目と脳を持たせる」(徐剛社長)ことを目指して2011年に3次元ロボットビジョンセンサ「TVSシリーズ」を開発・発売しました。TVSはどんな物体に対しても3次元で形状と位置を自動で認識・判別できるので、産業用ロボットに組み込めば、部品箱にバラ積みされた部品群の中から目的のものを自動でピッキングできます。

現在、TVSは国内マーケットで6割のシェアを占めているように、三次元メディアは3次元ロボットビジョンセンサ市場で快進撃を続けています。

産業用ロボットに目と脳を持たせる3次元ロボットビジョンセンサ

大学での研究を基に大学発ベンチャーを起こす

2000年12月、立命館大学教授の徐社長は、資本金300万円で同大学発ベンチャーの有限会社三次元メディアを創業しました(2001年に株式会社へ改組)。1983年の大学院生時代から研究を続けてきたコンピュータによる3次元立体視技術で起業したのです。

創業当時は、3次元モデリングと3次元画像計測の2つの技術からなる全自動の工業用3次元計測システムを開発・発売しました。このシステムは、自動車や航空機、橋梁、材目など大型物体を計測する用途で注目され、特に自動車の計測では、車長・車幅・車高を±10mm以下の高精度に測れることから全国の自動車検査場で導入されました。

ただ、3次元計測の国内市場はさほど大きくなく、この事業だけでは会社も成長できないと考えた徐社長は2008年に次なる手に打って出ました。

大学院生時代の研究を基に大学発ベンチャーを起こす

産学官連携で3次元ロボットビジョンセンサの課題を克服

「3次元計測市場から産業用ロボットに目と脳を持たせる事業への方向転換を考えました」

そこで徐社長は2008年、3次元ロボットビジョンセンサの開発を始め、そのソフトウェア製品として「TVL」を同年に発売。さらにハードウェア(カメラ)も組み合わせた3次元ロボットビジョンセンサ「TVS1.0」を2011年に開発・発売しました。

それまでも多くの企業が3次元ロボットビジョンを研究していましたが、物体を計測、認識するためにスーパーコンピュータ並の計算能力を必要としたため製品化できずにいました。ところが、三次元メディアは3次元認識の独自アルゴリズムを開発し、それによりPC並みの計算能力でも計測、認識できるようにしました。そしてこの独自のアルゴリズムを用いて世界に先駆けて実用レベルの3次元ロボットビジョンセンサ「TVS1.0」を開発したのです。

「TVS1.0」に次いで2012年に「TVS2.0」を開発・発売しましたが、この時点でのTVSシリーズは、部品同士が重なり合った時に認識できない部分ができてしまうという課題を抱えていました。その解決のために2013年にNEDO「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に応募して採択され、カメラとプロジェクタを組み合わせた構成の3次元ビジョンを開発することで課題を克服して2014年に「TVS3.0」として発売しました。

さらに2015年、NEDO「ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト」に採択されて「TVS3.0」の筐体を改良しました。同社はこの「TVS3.0」を主体に「TVSシリーズ」で国内3次元ロボットビジョン市場の累積販売台数が6割のシェアを占めるに至りました。そしてこの一連のNEDOでの開発成果が評価され、2015年に「第13回産学官連携功労者表彰 経済産業大臣賞」を受賞しました。

産学官連携で3次元ロボットビジョンセンサの課題を克服

研究開発型ベンチャーだからこそ資金と営業が重要

「TVSは開発・改良型製品のため常に多額の開発資金が必要です。それはベンチャー企業の当社にとって大きな負担にもなります」(徐社長)

TVSは顧客に納品したら終了する売切り型の製品ではなく、製造現場で使用する顧客の要望を受けながら改良を繰り返す製品のため、常にそのために絶えざる技術開発と資金が必要になります。そこで同社は「TVS3.0」の開発でNEDOプロジェクトを活用しました。

「NEDOプロジェクトによる産学官連携では技術開発の支援はもとより、産学官ネットワークを構築して情報交換を活発にできたことが財産になりました」(同)

産学官連携の製品開発では、資金や技術の支援以外にも開発者同士のネットワークとそこから得られる情報など目には見えない成果も獲得できました。

「補助金など公的な支援を受ける場合、開発しようとする製品や技術の意義をしっかり伝えることが大切だと思います」(同)

これは同社が公的支援を得るうえで信条としていることです。また、開発のための資金はベンチャーキャピタルなどからも出資を受けています。

「出資していただくためには、事業の将来性をしっかり描き、実績も築きながら投資家の信頼を得ることが大切です」(同)

TVSの開発以降、複数のベンチャーキャピタルから出資を受けていますが、徐社長は投資家へは事業の将来性と実績の構築を示すことが重要と語ります。昨年も産業革新機構、スパークス・グループ、三菱UFJキャピタルから受けた7億円の出資により、研究開発体制、販売体制の強化を進めています。

販売体制について同社は、2011年に営業部隊を設け、顧客の現場に行って要望を聞き、それを開発部隊に伝えて製品改良につなげるという、開発と営業が一体となった製品の開発・改良を行っています。

販売を他社に依存するベンチャー企業が多い中、同社は社員の半数近くを営業に当てています。それはユーザーニーズを反映させることで製品の機能・性能をレベルアップさせるためです。

「当社の製品は扱いが難しいので代理店になってくれるところがなかった」と徐社長は冗談めかして言いますが、TVSシリーズは技術サポートを重視する製品であることから、営業マンのすべてを技術者としているのです。独自のアルゴリズムで開発した製品という強みとともに、技術者が営業で顧客をサポートするという体制も同社の大きな強みとなっています。

研究開発型ベンチャーだからこそ資金と営業が重要

物流現場へ向けて新事業を展開

3次元ロボットビジョンで国内市場の6割を占める同社ですが、2017年4月から新たな事業展開を始めました。物流現場向けの知能ピッキングロボット事業です。

徐社長は全国50社以上の運輸、倉庫、小売の企業の現場を訪問した結果、3次元ロボットビジョンによる知能ピッキングロボットを導入すれば、労働人口の減少に伴う工場と物流倉庫の人手不足問題の解決につながると確信しました。

現在、運輸や倉庫の作業の多くが人手に頼らざるを得ない状況ですが、そこに3次元ロボットビジョンセンサを組み込んだ知能ピッキングロボットを導入すれば、人手に頼っている作業をすべて自動化できると徐社長は考えています。

このように3次元ロボットビジョンセンサで新たな事業を切り拓こうとする三次元メディアは、2020年12月にマザーズでIPO、2022年12月に東証1部に上場、2024年には売上100億円を目指しています。さらなる快進撃に向かってその一歩を踏み出しています。

物流倉庫のロボット化へ新事業を展開

いかがでしょうか。独自のアルゴリズムを開発して国内市場で6割のシェアを占める3次元ロボットビジョンセンサ「TVSシリーズ」を生み出した三次元メディア。大学発ベンチャーは技術と営業サポート体制のそれぞれの強みを活かし、新たな事業展開へと挑戦しています。

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産学官連携功労者表彰

企業、大学、公的研究機関などの産学官連携活動において、大きな成果を収め、あるいは先導的な取り組みを行うなど、産学官連携活動の推進に多大な貢献をした優れた成功事例に関し、その功績を称えることで我が国の産学官連携活動の更なる進展に寄与することを目的にしています。

技術革新や経営革新を行い、社会に影響を与えている中小企業が全国に数多く存在しています。
ミラサポでは、表彰された優良企業をご紹介していますので、みなさまの経営の参考事例としてご覧ください。

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