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アワード受賞企業に学ぼう!リーディング企業ピックアップ Vol.11

第10回製品安全対策優良企業表彰<中小企業 製造・輸入事業者部門>経済産業大臣賞 受賞

京都機械工具株式会社

技術革新や経営革新を行い、社会に影響を与えている中小企業として賞を受賞している優良企業の中から、注目企業をピックアップ。 今回は、「第10回製品安全対策優良企業表彰<中小企業 製造・輸入事業者部門>経済産業大臣賞」を受賞した「京都機械工具株式会社」をご紹介します。国内最大のハンドツールメーカーとして、ユーザーの安全を最優先する工具づくりを徹底的に実践。安全な製品づくりを極める同社の取り組みを紹介します。

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京都機械工具株式会社

  • ■所在地:京都府久世郡久御山町佐山新開地128番地
  • ■資本金:10億3,208万円
  • ■従業員数:195人

受賞ヒストリー

  • グッドデザイン賞 受賞(1995年以降28件)
  • 第3回ものづくり日本大賞<青少年支援部門>経済産業大臣賞受賞
  • 第10回製品安全対策優良企業表彰<中小企業 製造・輸入事業者部門>経済産業大臣賞

企業概要

1950年に創業の京都機械工具株式会社は、業界でいち早く社内一貫生産体制を確立した国内最大のハンドツールメーカーです。同社の製品づくりの根本に「安全思想」があります。工具を使う人の安全、その工具によって製造、修理された製品を使う人の安全。そうした安全を担う自負をもって、日夜工具づくりを追求しています。

「軽くて強く使いよい」をコンセプトに1万アイテム以上の工具を生産

ハンドツールメーカーの京都機械工具の創業は1950年。創業年にトヨタ自動車の車載工具に採用、およびモータリゼーションによる需要拡大に応えるため、本格的に自動車用工具に進出しました。

当時、車載工具は自動車メーカーの標準装備でした。現在はオプション装備のため京都機械工具も車載工具の生産は減っていますが、事業の核として販売ディーラーの修理用の整備工具や一般作業工具などを「KTC」ブランドとして生産・販売しています。

「KTC」ブランドは、「軽くて強くて使いよい」をコンセプトに1万以上のアイテム数を誇ります。京都機械工具は同ブランドによって、トヨタF1チームへのテクニカルサポート(2002~2009年)やデジタルトルクレンチ(締付力をデジタル表示するトルクレンチ)「デジラチェ」の開発(2005年)など、業界の先端を切り開いてきました。「KTC」ブランドを有する同社は、アイテム数、生産量、販売量とも日本トップの工具メーカーです。

「軽くて強くて使いよい」をコンセプトに1万アイテム以上の工具を生産

製品づくりでは徹底的に安全を最優先する

同社は1952年、主力製品のすべての生産工程を自社内で行える、業界初の「社内一貫生産体制」を確立し、材料の仕入れから、切断、鍛造、切削、熱処理、表面処理、検査、梱包まで自社で行います。また、製造のための機械のメンテナンスも自社で行い、さらに一部の機械や治具は自らつくっています。

同社の製品は、四輪車・二輪車および産業用機械の組立、修理、メンテナンスなどにおいてプロのメカニックに多く使用されています。そのプロ用工具は使用頻度がたいへん高いため、使用方法を誤ると大きな事故につながる危険性もあります。そのため同社の製品づくりでは、「ユーザーの安全確保」「使いやすさなどの快適性」「利便性による作業の効率化」を優先しています。特に創業以来、安全を最優先することを徹底してきました。

それを実現するのが、「ユーザーの安全を確保する設計思想」。「丈夫で壊れない製品にするだけでなく、万が一、誤った使い方をされても壊れる個所をコントロールする設計」という考え方です(次世代開発本部ブランド戦略部ブランディンググループ・福田昌典マネージャー)。

製品づくりでは徹底的に安全を最優先する

安全最優先の製品づくりを支える設計・製造技術

例えば、プロのメカニックが一般的に使用するソケットレンチ(ねじ締め工具)の場合、締める時はそれほど大きな力を掛けませんが、錆び付いたり、固着したりしたねじを緩める時には大きな力を必要とします。その際、修理現場ではソケットレンチをハンマーで叩くなど、想定外の大きな力を掛けるような誤った使い方がされることがあります。それにより工具が想定外の壊れ方をすることで、ユーザーであるプロのメカニックに危険が生じる恐れもあります。

そこでその偶発を事前に防ぐため、同社はソケットレンチ用ハンドルを開発する際、強大な力が掛かった時に本体がパキンと折れるのではなく、差込角(ハンドルとソケットの接続部)がねじ切れて壊れるように設計しています。

「JIS規格値以上の負荷を掛けて想定通りの破壊を確認します」(福田マネージャー)

この徹底した製品づくりが、ユーザーの安全確保につながっていくのです。

また、安全を確保する設計を実現するのに欠かせないのが製造技術です。製品の強度を生み出すための材料選定と鍛造技術はもちろん、熱処理技術も安全を確保するための重要な技術です。

「焼き入れ、焼き戻しといった熱処理技術によって材料に任意の機能、性能を付与できますので、安全設計のためには重要な1つの製造技術といえます」(同)

設計通りに破壊される工具とするためにも、材料に剛性と靭性(粘り強さ)を任意に生み出す熱処理技術は安全を確保する工具づくりで重要な製造技術の1つなのです。

安全最優先の製品づくりを支える設計・製造技術
安全最優先の製品づくりを支える設計・製造技術

ユーザーに向けて安全情報を常に発信

同社の安全を最優先する姿勢は、設計・製造といった製品開発だけではありません。ユーザーへの商品情報提供や営業活動、そのほかあらゆる業務において順守すべきことと社内に浸透しています。

その1つとして、同社は工具の安全な使用についてカタログ、チラシはもちろん、自社のホームページやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)でも常時情報を発信しています。

例えば、ホームページでは、正しい工具の使い方、間違った使い方、作業に応じた選び方など動画を交えながら紹介する「工具の基礎知識」を公開しています。また、2012年からフェイスブックの運用を始め、7万人を超えるファンと情報交換しています。フェイスブックでは、工具にほとんど触れたことのなかった若手担当者が不思議に思ったこと、気づいたことを「なるほど!工具ノート」という連載で工具について、思いついた特徴をイラスト付きで紹介するなどわかりやすく工具を伝えています。

さらに2016年にツイッター、2017年にはインスタグラムも活用し、ユーザーの安全に貢献する情報の拡散に努めています。

ユーザーに向けて安全情報を常に発信

ユーザーが生産、修理する製品の安全確保も追求する

同社は安全最優先の製品づくりでユーザーの安全を確保するだけでなく、そのユーザーによって生産される、または修理されるものについての安全も確保したいと考えています。そのための取り組みの1例にトルクレンチがあります。

さまざまな製品に用いられるボルトやナットを締め付ける際、締め付ける力が弱すぎると振動から緩んでしまい、強すぎるとボルトや製品にダメージを与えて壊れてしまう恐れがあります。それは製品を購入し、使用する顧客の安全を脅かすことにもつながってしまいます。よって、締結作業では適正な締付力(トルク)が重要になります。

そのため、同社でも締め付けトルクを計測しながら作業できる「トルクレンチ」を生産しています。適正な締付力でボルトやナットを締め付けられるからです。ただ、トルクレンチは高価なため一部のユーザーにしか普及していません。

そこで、適切なトルク管理の啓発とトルクレンチの普及のため、ホームページのコンテンツでは「ねじの呼び方と工具のサイズ・締付トルク参考値」としてトルクレンチの使用方法や選び方、「トルク管理コンテンツ」としてトルクレンチの基礎知識を紹介しています。

さらに、トルクレンチで作業する際の締付力のデータを、人手からPCとの通信による自動入力に替えることにより自動で蓄積し、それをトレーサビリティに活用するためのシステムも開発、提供しています。

このように同社はハンドツールを作業単体からデジタル計測によるトルク管理、さらにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)活用によるトレーサビリティ管理へと進化させています。

さらにこの進化を発展させ、工具・計測機器とウェアラブル端末を統合させ、作業性、安全性を向上、コスト削減、作業品質向上を実践する開発にも取り組んでいます。

ユーザーが生産、修理する製品の安全確保も追求する
ユーザーが生産、修理する製品の安全確保も追求する

いかがでしょうか。徹底的に安全確保にこだわり製品をつくる京都機械工具。60年以上前の創業期に製造された同社の工具が今でも現役でユーザーに使われていることも多いといいます。
本来は適正に使用すれば何十年も使える工具なのですが、仮に想定外の使い方によって壊れたとしても、ユーザーの安全を確保できるように製品を設計・製造しています。また、工具の安全な使用についても常時情報を発信しています。
それにより、安全に対するユーザーの意識が高まってきたようで、同社の先端的製品であるデジラチェ「メモルク」の2017年度前期の販売本数は前々期の3倍以上、また、2017年度の売上も前年実績を上回る勢いで成長しています。安全確保に対する同社の真摯な姿勢は大いに参考となります。

今回取り上げた賞はこちら

製品安全対策優良企業表彰

製品安全に積極的に取り組んでいる製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、各種団体を「製品安全対策優良企業」として表彰するものです。各企業が製造・輸入・販売している製品自体の安全性について評価するのではなく、製品安全活動について評価します。

技術革新や経営革新を行い、社会に影響を与えている中小企業が全国に数多く存在しています。
ミラサポでは、表彰された優良企業をご紹介していますので、みなさまの経営の参考事例としてご覧ください。

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