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アワード受賞企業に学ぼう!リーディング企業ピックアップ Vol.14

技術革新や経営革新を行い、社会に影響を与えている中小企業として賞を受賞している優良企業の中から、注目企業をピックアップ。今回は、2018年「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された企業の中から、「生産性向上」「需要獲得」「担い手確保」の各分野で、優れた取組を行っている注目企業を紹介します。

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」とは

ITサービス導入や経営資源の有効活用などによる生産性向上、積極的な海外展開やインバウンド需要の取込み、多様な人材活用や円滑な事業承継など、様々な分野で活躍している中小企業・小規模事業者を選定し、その取組を広く周知することで、選定された企業の社会的認知度や労働者のモチベーションなどの向上を図ることに加え、後進の育成を目的とするものです。

事例集の概要と選定のねらい

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」の選定のねらいについて、中小企業庁経営支援部技術・経営革新課(イノベーション課)の西澤健司技術支援二係長、安藤大誠氏に伺いました。
※本記事は、2018年5月18日時点の取材をもとに執筆・掲載しています。

本事例集は、2006年に「元気なモノ作り中小企業300社」として創設し、4回実施しました。その後、2014年、2015年はサービス業まで対象を拡大し、名称を「がんばる中小企業・小規模事業者300社」と改めました。
そして2016年から、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)により中小企業・小規模事業者にも海外展開のチャンスが広がってくることなどを踏まえて、名称を「はばたく中小企業・小規模事業者300社」と改め、今回で3年目を迎えます。

本年の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」では、「生産性向上」「需要獲得」「担い手確保」の3つの分野を軸に設定しつつ、事業承継、働き方改革、IT利活用などに取り組み、活躍する企業を選定させていただきました。
また、2018年は明治元年から起算して満150年の年に当たることから、明治時代から事業を継承し、活躍を続けている企業に特にスポットを当てています。国が推進する「明治150年関連施策」の一環として、事例にロゴマークを付して明示しています。

事例の収集には、支援機関や経済産業局のネットワークを活用して全国の様々な団体から募り、多様な地域や業種の企業の推薦がありました。その中から、外部有識者による厳正な審査を経て、選定しています。売上の大小などに関わらず、取組内容に応じて審査されています。今回は、「災害からの復興に関する取り組み」という観点も審査に加えており、東北地方や熊本県の企業からの選定もありました。
選定企業の周知については、推薦機関へ冊子を配布するほか、全国の経済産業局を通じた広報活動も実施しています。

西澤健司技術支援二係長(左)と安藤大誠氏
「明治150年」関連施策推進ロゴマーク

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された企業の紹介

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された企業のうち、今回は、特に小規模な企業にフォーカスし、先進的な取組を行う3社の事例を紹介します。

事例紹介1:「多能工化」を進める、ものづくりのスペシャリスト<生産性向上分野>

株式会社西川精機製作所(東京都江戸川区)は、1964年に設立し、プリント基板自動めっきライン用の治工具、産業用設備機材、医科学用研究機器などを製造・販売しています。
「一般加工物から特殊加工治具まで幅広いニーズに対応し、豊富な技術による高い品質の商品が供給できます」と代表取締役の西川喜久さんは語ります。
同社は、東京芸術大学などと産学官連携による商品開発を手掛けており、研究開発型企業への転換を図っているほか、IoT(モノのインターネット)に係る企業間連携の実証実験「つながる町工場プロジェクト」にも参画しています。

従業員6名という小規模でありながら、切削加工・板金加工・樹脂成型から溶接加工までをすべて社内で行うことが可能であるとともに、多能工化を推進して業務を効率化しています。従業員が複数の役割を兼任することで、有給休暇や出産・育児休暇の取得を促しています。この取組などにより、江戸川区の「平成26年度ワーク・ライフ・バランス推進企業」にも選ばれました。

選定を受けて

既存顧客や共同研究先との間で話題にあがっており、これまで以上に強固な信頼を得ることができました。ありがとうございます(西川さん)。

株式会社西川精機製作所
西川喜久代表取締役

事例紹介2:事業承継を契機に、オンリーワンのロータリーエンジンを開発<需要獲得分野>

株式会社日東工作所(大阪府枚方市)は、1965年創業の精密機械部品の加工を行う企業。社長の更谷雄三さんは父親の治具屋を継ぎ、2015年に個人事業から改組しました。
事業承継を機に長年のノウハウを精密機械加工へ応用する取組を行い、まずは排気量20CCの小型バンケル型ロータリーエンジンの開発・量産化に成功。高度な加工技術が必要とされるエンジンで、同社だけのオンリーワンの製品となっています。これは模型の飛行機・ヘリコプター用として、同社ブランドにて販売しています。また、近年は模型以外の用途としても研究機関などから問合せが増えています。

小型ながら本格的で、ロータリーエンジンの特長である「低振動、低騒音、高出力」の性能を備えており、好評を得ています。現在はより大型の排気量80CCのロータリーエンジンを完成させており、発電機などの産業用として需要が見込まれます。また、「水素燃料仕様のロータリーエンジンの開発を大学の研究室と共同で行っている」と更谷社長は語ります。
公益財団法人大阪産業振興機構による支援を受け、英語版のホームページ制作や海外からの問合せ体制整備を実施したところ、海外から頻繁に問合せが入るようになりました。引き続き海外展開を継続していく考えです。

選定を受けて

今回選定していただけたことは、非常に光栄なことです。これを励みに、より一層、「治工具・専用機や精密部品の加工」などのものづくりに精進してまいります(更谷さん)。

ロータリーエンジンの主要部品
更谷雄三代表取締役社長

事例紹介3:地域の女性を働き手に、震災復興や地域経済活性化につなげる<担い手確保分野>

株式会社WATALIS(宮城県亘理郡亘理町)は、中古着物地によるリメイク雑貨「FUGURO(ふぐろ)」などの商品を企画・製造・販売しています。
亘理町には、着物の残り布で仕立てた巾着袋にお米を入れてお祝いやお返しをする風習がありました。「袋」の方言をいかした「FUGURO(ふぐろ)」という商品名には、町の伝統や文化を継承したいという想いが込められており、地域の女性たちが手作業で製造しています。

2015年、代表取締役の引地さんは、被災地・亘理町を拠点として会社を設立。震災後の女性雇用の回復や、仕事と育児・介護が両立できるような仕組づくりのため、自宅で作業を行い納品や研修の時のみ集まるという、新しいワークスタイルを導入しました。地域の就労環境が改善されたことで、地域コミュニティや亘理町の伝統や技術を伝承する場の活性化につながっています。

海外メーカーとの商品開発など、海外市場への展開も実現しています。「亘理町に対する関心を高め、地域経済を活性化させることが震災復興につながる」と語る引地さん。亘理町が取り組むインバウンド事業でワークショップを開催するなど、海外発信にも取り組んでいます。

選定を受けて

お客様をはじめ支援機関の皆さまに支えられており、選定いただいたおかげで会社の信頼度がより高まりました。その信頼に応えられるよう事業を持続・発展させていきたいです(引地さん)。

「FUGURO(ふぐろ)」
引地恵代表取締役

中小企業庁担当者からのメッセージ

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された企業の皆さまは、周りのコミュニティを大切にされている方々が多い印象です。例えば、取引先や協力会社などだけでなく、従業員も大切にすることが、担い手の確保にもつながっているのだと思います。
人材確保に苦労されている企業の皆さまが多いと思いますが、新たな働き手を求めるだけではなく、既存の従業員のワーク・ライフ・バランスを重視し、従業員の生活や要望に合わせて労働条件・労働環境を見直していくことが重要です。様々にあるニーズを上手に満たしていくことを、他の企業の皆さまもぜひ実践してほしいと思います。

「自社にしかない」技術を持っているという企業は少ないと思いますが、他社とコラボレーションすることで、新たな付加価値をつけた商品・技術などが生まれ、企業を大きく成長させる可能性につながるものと思います。まずは普段お付き合いのある企業や支援機関に「こんなことをしたいと考えていますが、どんな方法がよいでしょうか」と相談してみて、知恵を借りてみてはいかがでしょうか。
また、支援機関や金融機関などに協力してもらうには、しっかりとした事業計画が重要です。「会社が将来どのようにありたいか」を見据えていただき、そのためにはどのようなことが必要か、ストーリーを明確にした計画の策定をお勧めします。

どのようにしたら企業を発展させられるのかを、多角的・客観的な視点で考えることが重要です。業界の環境にもよると思いますが、経営者の皆さまには、日々の事業に取り組みながらも、自社が伸びていく方向をしっかりと考えていただきたいと思います。

西澤健司技術支援二係長(上)と安藤大誠氏(下)

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」授賞式開催レポート

2018年3月26日、経済産業省本館地下2階講堂にて「はばたく中小企業・小規模事業者300社」「はばたく商店街30選」の授賞式が催されました。

主催者挨拶として、世耕弘成経済産業大臣から受賞された皆さまへの祝辞を述べ、受賞者代表に感謝状と盾の授与を行いました。
世耕大臣による挨拶概要は、以下のとおりです。

~世耕大臣のコメント~

日本経済は企業の経常利益が過去最高水準となっており、今後もアベノミクスによる経済の好循環を地方の隅々まで行き渡らせていくことが重要です。
このような中、課題となるのは、人手不足です。この課題の解決には、データ活用や設備投資を進めて生産性向上に取り組むこと、多様な人材の活用や円滑な事業承継を行うこと、地域の資源を活かし、インバウンド需要の取込みに挑戦していくことが求められています。

この「はばたく中小企業・小規模事業者300社」では、こうした課題を念頭に、「生産性向上」「需要獲得」「担い手確保」の3つの分野に取り組み、活躍する企業を選定しました。皆さまの優れた事例を情報発信していくことで、全国の中小企業・小規模事業者が勇気づけられ、社会的認知度が高まるとともに、後進の育成にも弾みがつくことを期待しています。

経済産業省としては、今回の選定先を事例集という形で幅広く地域の金融機関や商工会議所・商工会と共有し、皆さまの事業活動の一層のお役に立てるよう努めていきます。
皆さまにおかれましては、今回の受賞を契機として、今後さらに力強く前進していただくことを期待します。

祝辞を述べる世耕弘成経済産業大臣と選定された企業の皆さま
「はばたく中小企業・小規模事業者300社」事例集

 

事例集では、前述の3社の取組を含め、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」の詳しい取組をご紹介しています。皆さまの経営、地域活性化の参考として、ぜひご覧ください。

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」事例集

 

事例集では、前述の3社の取組を含め、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」の詳しい取組をご紹介しています。皆さまの経営、地域活性化の参考として、ぜひご覧ください。

技術革新や経営革新を行い、社会に影響を与えている中小企業が全国に数多く存在しています。
ミラサポでは、表彰された優良企業をご紹介していますので、皆さまの経営の参考事例としてご覧ください。

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