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アワード受賞企業に学ぼう!リーディング企業ピックアップ Vol.5

CASE-2 日本サービス大賞 地方創生大臣賞 海女小屋体験「はちまんかまど」

国内の全てのサービス提供事業者を対象に、"きらり" と光る優れたサービスを表彰する「日本サービス大賞」。今回は、栄えある第1回受賞31件の中から、4社の取り組みをピックアップ。各社事例から「優れたサービスをつくりとどけるしくみ」の秘密に迫ります。

有限会社兵吉屋

有限会社兵吉屋

有限会社兵吉屋

代表取締役 野村 一弘

  • ■所在地:三重県鳥羽市相差町1094
  • ■設立:2009年11月(創業:1963年4月)
  • ■従業員数:25名

「海女文化の総合商社」として、ご祝儀袋に使われる伊勢熨斗の製造・販売、御守の製造・販売、海女小屋体験施設の運営を行っている。今回受賞の海女小屋体験施設「はちまんかまど」は2004年にスタートし、海女とのコミュニケーションを通じて、地域の海産物を食す体験型のサービスを提供している。海女は、自分が獲った海の幸を囲炉裏で手焼きし、ふるまいながら、海女文化の魅力を国内のみならず世界に発信し続ける。

新ビジネス(サービス)に取り組んだきっかけ

漁業と観光の融合で、復活に懸ける町

代表取締役 野村 一弘氏

代表取締役 野村 一弘氏

鳥羽市相差町(おうさつちょう)は、日本で最も海女が多い町です。
私は自分の母親はもちろん、子供のころは同級生のお母さんはほとんど海女さんであるという環境で育ちました。
今から10年以上前に、アメリカの旅行会社から「海女さんと触れあいたい」という問い合わせが入りました。海女小屋はもともと、海女さんが着替えたり、漁から上がって体を温める、憩いの場であり、私たち家族でさえも、立ち入ったことはない空間でした。そのため、旅行客の受け入れというお話が来た当初は、難色を示す海女さんが多くいました。
当時、私たちは海女人口の減少・高齢化、水産資源の減少という危機に直面し、その対応を迫られている状況でもありました。
そして、身近に海外生活をする親戚がおり、海外の人との交流に抵抗のなかった私の母が、「町のPRになるのならば」と、笑顔で彼らを歓迎したことが今日の「海女小屋体験」のきっかけとなりました。

サービスの特徴

お客様と一緒に楽しむ海女のおもてなし

海女小屋

お客様には、伝統的な海女小屋で、海女とのコミュニケーションを通じて、海女の生活・仕事の現場を知ってもらい、昔話などを通じて海女文化を知っていただきます。
接客マニュアルはありません。故郷に帰ってきた親戚を迎えるかのような、飾り気のない素朴なふれあいがそこでは自然と行われています。

そのほか海女小屋では、実際に海女が命を懸けて獲ってきた新鮮な海の幸、地元の手作りのお米や味噌、野菜を味わうことができ、三重の食文化にも触れることができます。

サービスを届けるための工夫

誰にでもやさしい施設で、注目を集める

クレジットカード・WiFiとムスリムへの対応

海外旅行客の受け入れをきっかけに始まった海女小屋は、バリアフリー化や、全てのクレジットカード対応、Free Wi-Fiの導入など、お客様が知らない土地で困らないようにと、いちはやくニーズを汲み取り、利便性の向上を図っています。周辺にFree Wi-Fiが無いことから、海女小屋に着いたとたん、お客様が一斉にスマートフォンを取り出してSNSで海女小屋の情報をアップするという嬉しい現象が起きています。



クレジットカード・WiFiとムスリムへの対応

「誰にでもやさしい施設」として、宗教のバリアもフリーにという思いから、最近ではイスラム教徒の人のために礼拝室を用意しました。伊勢志摩サミット時には、外務省プレスツアーの施設に選ばれ、注目を集めたことで、訪れる人が増える、という好循環につながっています。また、三重県としては初めて「ムスリムガイドブック」に掲載されるなど、大きな反響を得ています。

サービスがもたらした影響

海女という町の資産を見直したことが、地域の発展へ

地域の主要な観光施設に

「はちまんかまど」の成功は、地域や地域の人々の意識に大きな変化をもたらしました。

まず最初に挙げられるのが、地域全体が潤う好循環です。
2004年のサービス開始時に比べ、現在は約20倍(14,600人/年)の人々が海女小屋を訪れるようになりました。「はちまんかまど」の成功を受け、他のエリアにも同様の体験施設がオープンし、今では人々がわざわざ「海女小屋」を目指して訪れるまで、地域の主要な観光施設となっています。地域の人々も海女文化の価値を再認識し、誇りを持てるようになりました。
地域が活性化している状況を見て、一度故郷を離れた若者が戻ってくるというUターン現象も起こっています。

また、これまで接点のなかった一般のお客様とふれあい、楽しんでもらうことで海女の生きがい、やりがいにつながっています。

今後の目標としては、ユネスコ無形遺産登録です。ただ、海女人口の減少と高齢化、水産資源の減少という問題を抱えており、このままでは海女文化が途絶えてしまうと危惧しています。現在、兵吉屋では、海女文化の継承のために、若手海女の育成、漁閑期の副業の創出支援、海女の漁具の存続などに取り組んでいます。
より多くの人に海女文化を知ってもらいたいと私たちは願っております。

日本サービス大賞を受賞したポイント

♣ 伊勢志摩地方の「海女」ブランド活性化の火付け役として貢献

♣ 海女と語り合いながら海産物を食し海女文化に触れる、非日常の感動体験を提供

♣ 近隣に海女の関連市場が次々と創出され、地域活性化に寄与しており、三重県や伊勢志摩の地域経済を支えている




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