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アワード受賞企業に学ぼう!リーディング企業ピックアップ Vol.9

第6回ものづくり日本大賞・経済産業大臣賞 受賞

株式会社オカモト商店

技術革新や経営革新を行い、社会に影響を与えている中小企業として賞を受賞している優良企業の中から、注目企業をピックアップ。 今回は、「第6回ものづくり日本大賞・経済産業大臣賞 伝統技術の応用部門」を受賞したグループのリーダーを務めた「株式会社オカモト商店」をご紹介します。伝統産業の久留米絣(くるめかすり)の生産において企業連携によって新技術を開発し、地場産業の活性化に取り組む姿を紹介します。

今回の注目企業はこちら

株式会社オカモト商店

  • ■所在地:福岡県久留米市日吉町12-12
  • ■資本金:1,200万円
  • ■従業員数:87名

受賞ヒストリー

  • 第6回ものづくり日本大賞・経済産業大臣賞

企業概要

株式会社オカモト商店は、久留米絣を用いて洋装、服飾・生活雑貨を企画・販売する企業です。1981年以降、オリジナルブランドを次々と立ち上げ、伝統ある久留米絣をカジュアルファッションとして展開することで、自社の事業のみならず伝統産業の活性化にも尽力しています。

伝統産業の久留米絣をブランド化により活性化

福岡県久留米市のオカモト商店は、明治時代後期に卸問屋として創業し、1971年に法人化した久留米絣の企画・販売会社です。
久留米絣とは、福岡県筑後地方で200年の歴史を持つ木綿の織物です。絣とは、経糸もしくは緯糸、または両方の糸をあらかじめ染めておき、その糸を織ることで模様を表現する織物です。久留米絣は、糸をくくって藍で染め、それを織って模様を表現します。濃い藍色を基調とした織物であり、染色と未染色の部分をつくって柄を表現します。
久留米絣の用途の大部分は和装でした。それも戦後になると需要が減少する一方になり、福岡県内の久留米絣の生産量および関連事業者も減少の一途をたどりました。
それに危機感を覚えたオカモト商店は、本業の卸売を営みながら、1981年に久留米絣のブランド化を推進するために「儀右ヱ門」というブランドを立ち上げ、和装以外のエレガントかつカジュアルな洋装の製品企画を始めました。さらに1990年代末から地元の百貨店などで儀右ヱ門ブランドの店舗販売も始めました。
「減少し続ける久留米絣の需要に対して新しいブランドを創生し、新規の顧客を開拓しなければなりませんでした」(野口和彦社長)
儀右ヱ門というブランドの創生と百貨店を中心とした多店舗での販売により、2000年以降は久留米絣の生産・販売の減少に歯止めを掛けることに成功しました。ただ、一方で新たな課題も存在していました。

伝統産業の久留米絣をブランド化により活性化

久留米絣の課題を新技術で突破

その課題とは、久留米絣の製法の改良でした。久留米絣は基本的に「くくり」→「染め」→「織り」という工程を経て完成されます。その工程の詳細は、柄づくりから乾燥、整反まで30ほどの工程があります。そのうち染めの工程で使用される化学染料(ナフトール染料)は、洗濯や摩擦などにより色移り色落ちが発生すること、安全性の問題から欧州などで使用・輸出入が規制されていることなど対応しなければならない課題がありました。それらの課題を解決しなければ、通信販売、海外輸出などの新たな販路開拓、新たな分野への商品展開が難しくなります。
そこで2006年、4つの織元(織物の生産者)と共同し、福岡県工業技術センターの技術支援を得ながらナフトール染料を使わない、反応染料を用いた新しい染色技術の開発を始めました。さらに、その取り組みが2008年に経済産業省の「地域資源活用新事業展開支援事業」に採択され、新技術と新商品の開発を加速させました。
2010年に新しい染色技術が完成し、ナフトール染料ではできなかった濃色・境界部の鮮明化(従来の染色技術では、濃藍色と染色しない部分との境界が鮮明でなかった)、洗濯や摩擦などによる色移り・色落ちの防止を世界に先駆けて実現しました。それにより原色からパステルカラーまで多彩に色を表現できるようになり、さまざまな洋服や雑貨などへとさらに商品化の分野を拡大できました。
新技術の開発が、伝統産業の再生とそれによる地域の活性化へとつながっていったのです。

久留米絣の課題を新技術で突破

難題克服の原動力は企業間連携にあり

久留米絣の新しい染色技術を開発した原動力に企業間連携がありました。オカモト商店は、久留米絣の衰退の危機打開に向けた企業間連携を図るため、2004年に「井桁の会」を結成しました。いわゆる久留米絣についての勉強会であり、ファッションや生活雑貨などのトレンド、糸・染色・織りなどの技術、海外の諸規制などさまざまな情報を研究し、共有する組織です。
「久留米絣には工業組合と商業組合がありますが、井桁の会は工業、商業という枠を外し、久留米絣にかかわるさまざまな事業者が参加できる組織になっています」(野口社長)
県内24軒の織元のうち14軒が参加する井桁の会は、結成以来、年間4回の勉強会を開催しています。そこでは糸や生地の話題を中心に、ファッションやデザインなどさまざまなトレンド情報を交換・共有し、研究します。その企業間連携である井桁の会で研究を重ねる中、ナフトール染料による染色技術への対応が俎上に載りました。1社では対応が難しい課題でも、複数の中小企業が連携すれば解決へと向かえる。井桁の会はまさにその原動力となりました。

難題克服の原動力は企業間連携にあり

「伝統」と「革新」の融合で伝統産業を躍進させる

1981年からブランド化を推進し始めたオカモト商店は、まず儀右ヱ門ブランドを立ち上げ、次いで2010年に儀右ヱ門から派生させた、カジュアルファッションの「ギエモン」、さらに2012年にはカジュアルコンセプトの「KURUMI」と次々とブランドを展開していきました。
いずれも「世の中のライフスタイルや顧客が変化し、さらに情報革命が進化する中にあって顧客の心に響く、選んでいただける商品・ブランドを確立しなければいけない」(野口社長)という思いから、久留米絣という「伝統」にトレンドの反映という「革新」を融合させたブランド展開です。
さらに最近はギエモンブランドで、メキシコのポンチョと日本のちゃんちゃんこを掛け合わせた「ポンチャン」、もんぺとショートパンツを掛け合わせた「もんぱん」など、海外の伝統をも取り入れた久留米絣の新たな製品も発表しています。
ブランドの多様な展開により久留米絣を世の中に広めていく。オカモト商店は伝統産業をさらに躍進させていきます。

「伝統」と「革新」の融合で伝統産業を躍進させる

いかがでしょうか?オカモト商店は、伝統産業の技術課題を企業間連携で克服し、かつ久留米絣でオリジナルブランドを次々と展開して需要の拡大を図っています。その取り組みは自社だけでなく地場産業の活性化にもつながっています。中小企業の連携の重要性を改めて認識できる事例です。

今回取り上げた賞はこちら

第6回ものづくり日本大賞

日本の産業・文化の発展を支え、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきたものづくりを着実に継承し、さらに発展させていくため、製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や、伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など、ものづくりの第一線で活躍する各世代のうち、特に優秀と認められる方々を顕彰する制度です。

技術革新や経営革新を行い、社会に影響を与えている中小企業が全国に数多く存在しています。
ミラサポでは、表彰された優良企業をご紹介していますので、みなさまの経営の参考事例としてご覧ください。

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