Vol.14

人とのつながりを大切に、思いを広める

藤井 治子さんと田仲 智子さんが考案した『エイジレスバレエ・ストレッチ』。医師の監修を受け、クラシックバレエの素晴らしいメソッドと体幹トレーニングを、中高齢者向けにアレンジしたプログラムである。
一人でも多くの方が「人生最後の日まで自分の足で歩き、イキイキと自分らしく人生を全うする!」ために、『エイジレスバレエ・ストレッチ』を広めたい。
そんな思いを形にするために、ビジネスプランを洗錬する機会としてビジネスプランコンテストを活用し、そこで良きビジネス指導者、サポーターと出会う。
そしてついに2019年5月、大阪・淀屋橋にスタジオをオープンさせた。

関係者の相関図

人生をかけて世の中へ広めたい!

藤井 治子さんは、30歳でクラシックバレエに出会う。運動不足を感じて、カルチャーセンターでのバレエ教室に参加したことが始まりである。
バレエを始め5年ほど経ったある日、バレエ仲間6名と65歳から75歳の方々へバレエをベースとしたストレッチを教えるボランティア活動を始めた。まずはみんなで運動しましょうというレベルからスタートした活動だった。

2年ほど続けているなかで、「ひざの痛みがなくなった」「姿勢を意識できるようになってきた」「お腹が締まってきた」など、参加者たちに変化が現れるように。そうなると、教えている方も楽しくなってくる。
最初4人からスタートした生徒さんも25人までに増え、やりがいを感じて通ってくれた。

そうであれば、その気持ちにもっと応えていきたい。調べてみると、海外を含めて高齢者に向けてバレエをベースにしたストレッチを展開しているビジネスはまだなかった。ならば、ボランティア活動で蓄積した知識を基に、『エイジレスバレエ・ストレッチ』を事業としてチャレンジしてみたい。人生をかけて世の中へ広めたい。そう考えるようになった。

そしてパートナーとなる田仲 智子さんも同じ思いであった。
当初6人で始めたボランティア活動であったが、仕事を辞めてまでやる気になっている2人が残り、事業化に向けて試行錯誤を始める。

創業補助金の採択を機に、退路を断つ!

事業化に向けて藤井さんが準備を始めた2014年、その後に事業所の提供や、レッスン場所である大阪天満宮の紹介など、多方面からビジネスをサポートくださる天満大阪昆布3代目の喜多條 清光さんに出会う。「アメリカに住む日本料理研究家の知人に頼まれて、昆布の研究をし、本も出していらっしゃる喜多條さんを訪ねたのです。その時の自己紹介で『エイジレスバレエ・ストレッチ』をこれから事業化したいと伝えたところ、喜多條さんはちょうど補助金や助成金の情報を集めていらっしゃり、創業補助金の存在を教えてくれました」。

創業補助金では認定支援機関の支援が必要であるが、その支援の相談を電話で依頼するも断られ続け、10件目に電話した大阪信用金庫 石津支店の日置さんがやっと会ってくれることに。「半ばあきらめていたのですが、日置さんがじっくり話を聞いてくださり、補助金申請に際して事業計画策定のアドバイスなど、申請に向けてサポートくださいました」。

無事、創業補助金の採択が決定した。この補助金により事業スタート時に必要となる備品など、最低限の設備を備えることができ、スムーズな創業へとつながった。また、様々な事業を見てきた金融機関が応援してくれることが、事業を進めていく上の大きな勇気にもなった。

補助金採択をきっかけに藤井さんは15年間勤務した会社を退職し、2015年8月に個人事業主として事業をスタートさせた。

『LED関西』でビジネスを磨く

事業をスタートさせたが、基本的な体制整備や事業化への具体的な手順がわからず悩んでいると「喜多條さんが近畿経済産業局主催の『LED関西ビジネスプラン発表会』を紹介してくれました。ただ、ビジネスプランコンテストがどんなものであるのかも理解せずにエントリーしたので、書類審査で不合格に。2015年開催の第2回へのエントリーですね」(藤井さん)。

『一般社団法人 日本エイジレスバレエ・ストレッチ協会』の設立(2016年12月)、個人事業主から法人『SAY合同会社』の設立(2017年1月)と、体制整備に力を注いでいたため第3回LED関西のエントリーは見送り、満を持して第4回の開催にはキックオフイベント(説明会)から参加。イベントでサポートデスク『@スタートアップカフェ大阪』の存在を知り、数度にわたりエントリーシートのブラッシュアップに訪れる。さらに、サポートデスクから大阪市のビジネスサポート拠点『大阪産業創造館』経営相談室の岡島 卓也さんを紹介され、相談に訪れる。

相談を受けた岡島さんは「藤井さんの第2回のエントリー内容も見たのですが、その時に比べて活動拠点数が9カ所に、生徒数も150名に増え、ビジネスとしてニーズがあると感じました。そして2年間でだいぶ実績を積んだな、との印象を得ました」。

念入りな準備により、書類選考を通過しセミファイナリスト(30名)へ進んだ。岡島さんは『LED関西』の関与者でもあり、ビジネスプラン、プレゼンテーションの研修を通じて、再び藤井さんをサポートすることに。
アドバイスを基に何度もブラッシュアップし、セミファイナル(プレゼンテーション)に挑み、10名のファイナリストへ選出された。

ファイナリストとしてサポーター企業、パートナー、起業を目指す女性等500名を超える観衆の前に登壇し、プレゼンテーションを行った。ビジネスを営んでいく上での自信も芽生えた。
併せて、事業成長に向けたアドバイスや、事業の課題解決につながるサポーター賞を8社から受賞し、継続的に事業のサポートを得る機会を得た。

「LED関西と同じ時期に他のビジネスプランコンテストでも2件ファイナリストとして登壇をさせていただいたのですが、ビジネスプランコンテストに係る方々は、おせっかいなくらいにアドバイスをくださいます。言葉をかけていただき、気にかけていただくことでエネルギーをもらえます。そのエネルギーを基にもっと頑張ろうと思えたのですよね。社内の仲間だけでなく、社外の様々な経験をしているみなさんからの指摘により、視野も広がりました。ビジネスプランコンテストへの参加は、ビジネスを練る上でとても貴重な機会だと思います」。

女性の「想い」や「夢」の実現を後押し

『女性起業家応援プロジェクト(LED関西)』は、大企業や地域の金融機関、支援機関がネットワークを構成する、女性起業家応援プロジェクトである。経済産業省が実施する令和元年度 女性起業家等支援ネットワーク構築補助金事業の近畿・四国エリア事業者として採択された公益財団法人大阪産業局が運営している。

起業を志す女性や、事業成長に課題を抱える創業間もない女性起業家に向け支援を行うために、関西・四国エリアで開催する主催イベントや共催セミナー、関西各地でのサポートデスク開設などの活動を行っている。
関西エリアにおいては、97社を超えるサポーター・パートナーと52名を超える歴代ファイナリストのアンバサダーが一体となり運営し、起業を考える女性や、女性起業家の「やりたい」の実現を応援する。

『ビジネスプラン発表会LED関西』は、今年度で6回目を迎える。業種・業界にとらわれない、多様な人との出会いの場であり、ビジネスプランの優劣を競うのではなく、『LED関西』の出場を目指す女性起業家の事業を"サポートする"ためのイベントと位置付けられ、分野を越えて女性の「想い」や「夢」の実現を後押ししている。

サポーター企業 大阪信用金庫の多岐にわたる支援

藤井さんにサポーター賞を贈った企業の一つ大阪信用金庫。「発表会の翌日には連絡をいただき、資本力強化のために『だいしん創業支援ファンド』を勧めてくださり、チャレンジさせていただきました」。ファンドの他にも大阪市の助成金『Fund&Fun』への推薦、WEBマーケティング、商標登録、健康効果のエビデンス取得に向けた機関の紹介を受けるなど、多岐にわたり支援をうけた。

『LED関西』に初年度からかかわり、藤井さんをはじめたくさんのファイナリストを支援してきただいしん総合研究所 代表取締役専務 畑 正文さんは「信用金庫は地域の金融機関として、地区内の産業経済の発展を支える役割を担っています。そのための策として、お金を貸すことだけが支援ではありません。本質的な悩みに寄り添い、リース会社や検査機関、弁理士さんなどの困っていることを解決してくれる支援先を紹介することも大切な支援だと考えています」。

藤井さんは「畑さんは事業をするときに一番大切な事は人を大切にすることだと、経営者としての心得も教えてくださいましたね。面倒見がよくて、私たちの思いに共鳴してくださる方です」。

『だいしん創業支援ファンド』をきっかけに株式会社化も果たし、合同会社から「SAY株式会社」へ。そしてファンドによる大阪信用金庫からの出資、『Fund&Fun』の採択などで資金を調達し、大阪 淀屋橋に2019年5月念願の自社スタジオをオープンさせた。

仲間と共に、一歩一歩。

2019年10月現在、12名の講師が大阪、京都、名古屋、岡山でのレッスンを担っている。
バレエを子供や大人にも教え技術レベルの高い方から、バレエが専門ではないがミュージカルで踊っていた方、看護師で昔バレエをやっていて予防医学として『エイジレスバレエ・ストレッチ』を取り入れたい方など、出自は様々。「頑張っても関節が痛む、エネルギーが足りなくて踊ることがつらくなってきたけど、ずっとバレエに携わっていたいと思われる方がホームページで『エイジレスバレエ・ストレッチ』を知り、健康効果も理解したうえで、講師になってくださっています。40-50代が中心ですが、60歳の先生もいらっしゃいます」(藤井さん)。

生徒は40代から70代と幅広い。レッスンプログラムの一部分で2カ月ごとに新しいステップにチャレンジするが、そのステップを使い、みんなで踊りを作りあげる工程や、リズムをみんなで揃えることも楽しみに通ってくださる。「高齢な方ほど『みんなで』を欲していらっしゃいます。40-50代までは会社などのコミュニティがありますが、60代以降になると所属する場所が限られてしまいます。ですので、人と人の係わり、ふれあいを楽しんでくださいます」。

一生涯の健康寿命を伸ばすことを目的とし、医師の監修を受け、クラシックバレエの素晴らしいメソッドと体幹トレーニングをアレンジしたプログラム『エイジレスバレエ・ストレッチ』。「人生最後の日まで自分の足で歩くことを目標としています。一人でも多くの方にこの良さを体験していただき、バレエが好きで、そしてこの事業目的に賛同して共に会社を支えてくれている講師たちと、無理せず確実に、一歩一歩階段を上っていきたいです」。

女性起業家は語る

女性起業家は語る

ビジネスプランコンテストにチャレンジすると、複数視点でアドバイスがもらえ、さらに業種は違えども同じ方向へと向かう仲間とも出会うことができます。人とのつながりを大切にしていくことが、道を開く一番の秘訣だと思います。これからも共感しあえる人たちとつながり、一緒に新しい道を開いていきたいです。




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