Vol.2

"人と人とのつながり"が香川の農業をサポート 知恵と経験を6次産業化に生かす

香川県・高松市。ここに食から新しい未来を創ろうとする人々がいる。四国の起業支援を手がける「四国ドリームビズ」を運営する亀山初美さん。彼女がNPO法人「農幸生活」を立ち上げたのは、2012年4月。農業者をサポートし、消費者とつなげ、次世代に豊かな食のあるくらしを実現する──。その考えに賛同する人は、農業者のみならず、大学の教授、研究者、一般企業など多岐にわたる。

助ける側から助けられる側へ

広野牧場もNPO法人「農幸生活」にも関わる1社。乳牛を約260頭を飼育し、香川県でトップクラスの規模を誇る広野牧場は、2013年1月にジェラート店「MUCCA」をオープンした。開店に際し、統括責任者を務める広野牧場の2代目・広野豊さんには、「農」のイメージを良くし、人が集まる場所をつくりたいという夢があった。

横のつながりで課題を解決

「6次産業化には、多くの人が関わることが必要。それぞれの知恵と経験を持ち寄って、初めて実現できること」と亀山さん。普段は「農幸生活」で、アドバイスを行う立場にある広野牧場だが、今回の新規事業では、アドバイスを受ける側に回った。
横のつながりがベースとなり、時に助け、時に助けられて課題を解決していく。「6次産業化に関わってくださる人がいなければ、ここまで実現できなかった」と広野さんもうなづく。

個々の得意分野を持ち寄って

実は開業前、広野さんは大きな壁にぶち当たった。ジェラート作りが上手くいかなかったのだ。亀山さんは、すぐに「農幸生活」で活動を共にする香川大学農学部長の早川茂先生に連絡を取った。畜産物利用学が専門で、アイスクリームの達人である早川先生は、牛乳の成分から広野さんにアドバイスを行った。「僕の得意分野だからね」と笑う早川先生から、真摯に取り組みながらも、この活動を楽しむ様子がうかがえる。

メンバーと役割は柔軟に変化

開業前後にはさらにさまざまな人が関わった。出版社「ROOTS BOOKS」を経営する小西智都子さんは、出版物を通してMUCCAの魅力を人に伝えた。IT関連企業であり、農業支援アプリなども手がけるビットコミュニケーションズは、今回はSNSやメルマガでの情報発信で関わった。全員が全員、農業に精通しているわけではない。それでも、密なコミュニケーションを通して、理解を深め合い、最良の方法を探していく。「課題に対し、私たちは解決策を考える。各自のやるべき役割が毎回変わるのが、この活動のユニークなところです」と小西さん。

「関わる人が多ければ可能性は広がる」

最近、仲間に加わった実夢図舎の本田真実さんは、食育の面から農業者をサポートする活動を続けている。「お力になれるか...」と謙遜する本田さんに「私たちに絶対必要な力なのよ!」と亀山さんが背中を押す。「誰ひとり欠けても6次産業化は実現できない。多くの人が関わることで可能性が大きく広がるんです」。結局は人であり、対話とつながりである──香川の6次産業化の現場は、最も大切なことを改めて教えてくれる。

亀山さんは語る

「香川の農の応援団は他にもたくさんいて、誰もが支える側にも支えられる側にもなる。課題解決のために"個"の力を集めた時、大きな可能性が生まれると信じています。大切なのは、人と人との横のつながり、そして、"聞く""伝える"というお互いのコミュニケーションだと考えています。」




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