Vol.3

奥出雲町の活性化に挑む2人の若手経営者 過疎地域からニーズを作る

島根県奥出雲町は約1万4500人が暮らす山間の小さな町。毎年160?180人ほどの人口流出があるなど過疎化が進んでおり、住民の高齢化という問題も抱えている。今回ご登場いただくのは、奥出雲町の「ミラサポ」ユーザーである有限会社エヌ・イー・ワークスの代表取締役社長・三澤誠さんと、株式会社奥出雲社中の代表取締役・吉川朋実さん。おふたりは年齢も近く、以前から地域の経営者仲間として長い付き合い。奥出雲町の未来のために活躍するおふたりに、地方の中小企業の現状とミラサポの活用方法を伺った。

雇用創出と福祉をつくる押し花栽培

福祉関係の団体職員を経て、2002年に起業した三澤さん。社員として働いていた電子部品の会社解散を機に、従業員を丸ごと引き受けたのが起業のきっかけだった。現在は電子部品のほか、食用の押し花の栽培やその加工品も手がける。花の栽培の仕事を始めたのは「田舎だからメリットが出せる」商品であること。さらには、高齢者や介護・子育て中の人たちのために「働く場所をつくれる」ことがあった。

「ここにしかない」仕事で価値を向上

「働きたい意欲はあっても機会のない方の仕事を作ることも福祉のうちと考えています」と三澤さん。それぞれの自宅でプランター栽培で花を育てて収穫してもらうだけでなく、押し花を作る機械も貸し出して加工までしてもらう。「他にはない仕事だから価格競争も起きないんです」。彼らの収入はライフスタイルに合わせて様々だが、多い人では15万円ほど。一般的な内職の賃金水準よりも高い印象だ。その活動が評価され、平成23年度には経済産業省の「ダイバーシティ経営企業」に選ばれている。

イベント開催で人口を超える集客

一方、吉川さんは祖父の代から続く有限会社吉川工務店の仕事の傍ら、奥出雲のために立ち上がった。「受注の大半が公共事業という典型的な地方の建設業で、従業員の高齢化も進んでいます。そんな中、僕自身は人と積極的に関わる仕事がしたいと考えています」。若者が集まった「やらこい奥出雲」もそのひとつ。主催する「米-1グランプリ」は、お米や米粉を使った料理・スイーツを集めた食イベントだ。昨年は奥出雲町の人口を上回る2万人が訪れた。

「地域の守り手」としてのビジネス

開催の裏には島根県のブランド米である「仁多米」の認知度を上げ、地域を活気づけたいという思惑もある。「自然災害も少なくない地域で、僕たち建設業は地域の守り手だという自負があった。でも、それだけではやっていけないし、競争力も下がる。僕は奥出雲をベースに、地域外でチャンスをつかみ、地域に還元したいと考えています」。現在は松江市と都内でラーメン店も経営。農業にも力を入れている。「ただ、農作物を作ることはできても、ニーズがどこにあるかわからないんです」と吉川さん。

地域外との連携に「ミラサポ」を活用

三澤さんが続ける。「そう。地方の中小企業はものづくりはできますが、ニーズがわからないんです」。三澤さんは「ミラサポ」地域会合を機にコミュニティに参加し、その交流の中で、今まで気づき得なかった他地域のニーズを知ることがあったという。「一番の魅力は、これまでご縁のなかった方に認知してもらえる点です。はじめはエリアモデレーターの杉本和行さんのアドバイスで、各都道府県のコミュニティに自己紹介を書き込みました。実際数社からサンプル提供や見積もりの依頼をいただいています」。ミラサポによってエリア内の関係はより強固になり、仕事の可能性が広がる新たな「出会い」もできた。

三澤さんはGBAファイナリストに

1月に開催された第1回「グッド・ビジネス・アワード」(主催:ミラサポ)で、三澤さんは「ものづくりビジネス部門」のファイナリストを、三澤さんとタッグを組んだ杉本さんはベストパートナー賞を受賞した。地域とエリアモデレーターが二人三脚で創った未来を担うビジネスが評価されたのだ。今後、ミラサポに求めることは「さらなるコーディネートやマッチング機能に期待しています!」と話してくれた三澤さんと吉川さん。奥出雲町から世界へ羽ばたく、今後の飛躍が楽しみだ。

グッド・ビジネス・アワード

三澤さん&吉川さんは語る

「人がやらない新しいことをしたいと常に考えています。現在は営業や企画提案のため、月1回1週間ほど東京に来ます。中小企業だけで日本の未来を作るのはハードルが高い。大企業との接点を作ることは必要だと感じています」

「現在は地域内での活動や繋がりの比重が大きいですが、域外と人とも繋がりを深めて直接お会いできるタイミングが欲しいですね。島根県は海外進出にも積極的。将来的には海外も視野に入れています」




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